カレン：最初の悪い話から 　　　　　　でも、どれも手短にお願い 　ジュリア：ええ、じゃあ最初の悪い話を・・ 　　　　　　リリトがティンカーベルのことを調べてたわよ 　　　　　　どうやら、一仕事やるみたいね 　　カレン：リリトって、あのリリトが？ 　ジュリア：そう、あのリリトが 　　カレン：それは、確かに悪い話ねぇ 　　　　　　でも、リリトが船を狙うのは珍しいわね 　　　　　　それで、次の悪い話って言うのは？ 　ジュリア：リリトがティンカーベルを調べていた理由が次の悪い話なの 　　　　　　どうやら、リリトを動かした人物がいるみたいなのよ 　　カレン：誰なの？ 　ジュリア：カーフ・セルアード 　　カレン：何者なの？ 　ジュリア：サルジニア軍の特務士官 　　　　　　表向きはジュリオ・チェザーレの科学士官となってるわ 　　　　　　ちょっとした失敗で今は左遷されているけど、腕は確かよ 　　　　　　ああ、ジュリオ・チェザーレは今バレンシアに来ているわね 　　カレン：・・・・確かに、それも悪い話ねぇ 　　　　　　でも、これでこちらも準備が出来そうね 　　　　　　で、最後の悪い話って言うのは？ 　ジュリア：これは、今までの話とはちょっと変わるんだけど・・・ 　　　　　　一体、ロクサーヌって何者なの？ 　　カレン：・・・・・・どういうこと？ 　ジュリア：何一つ分からなかったの 　　　　　　調査自体は全く妨害を受けなかったのに 　　　　　　こんなことは、あり得ないはずだわ 　　カレン：・・・・・・今まで聞いた中では、一番悪い話ね 　　　　　　まさか、あなたにさえ情報が得られない相手だなんて・・・ 　ジュリア：役に立たなかった？ 　　カレン：いいえ、逆よ 　　　　　　十分参考になったわ 　ジュリア：・・・・・・・ 　　カレン：どうしたの？ 　ジュリア：嫌な予感がするのよ 　　　　　　カレン、この仕事、降りるわけには行かないの？ 　　カレン：どうしたの？おねーさんが 　　　　　　リリトやカーフにやられるかもしれないと思うの？ 　ジュリア：そうじゃないわ 　　　　　　そうじゃないけど・・・・嫌な予感がするのよ 　　　　　　何か、そんなことはどうでも良いぐらいに 　　　　　　とてつもないことが起きるような予感が・・・・・ 　　カレン：それなら、なおさら降りられないわよ 　　　　　　私が降りても、あの子達は最後までやろうとするでしょうから 　ジュリア：・・・・そう答えると思ってたわ 　　　　　　私は何も力になれないけど・・・・気をつけて 　　カレン：・・・ありがとう、ジュリア 　　　　　　ねえ、頼んだ服、明日の朝までに仕立て終わる？ 　ジュリア：ええ、仕立てておくわね 　　カレン：じゃあ・・・ 　ジュリア：請求書は、明日の朝持っていくわ 　　カレン：そう、じゃあ代金はまとめて明日払うわね 　　　　　　あらっ、早く戻って上げないと、あの子達が心配するわね 　ジュリア：・・・・じゃあ、また明日に 　　カレン：ええ 　からんからん 　ジュリア：・・・・どうか、私の思い過ごしであってくれますよう・・・・・ 　さて、少し時間を戻してみよう 　場面も、少し変わる 　街を歩くえすえすの場面に 　えすえす：やれやれ、どうも船の上はいかん 　　　　　　体がなまる 　・・・・岩を砕くような修行をしたいのか？ 　確かに、船の上ではそんな修行は出来ないだろう 　だからといって、街に出たところで同じことだと思うが？ 　えすえす：・・・まあ、肩慣らしには丁度良いかな？ 　　　　　　あの程度なら、左手だけで十分か 　　　　　　いや、手も使わない方がいいかな？ 　何を見つけたんだ？ 　あ、ごろつきが吟遊詩人に絡んでいる 　ごろつき：おい、誰の許しを得てそんなことをやってるんだ？ 　吟遊詩人：別に、道ばたで歌ってはならないっていう決まりはなかったと思いますが 　ごろつき：やかましい 　　　　　　この界隈はなぁ、ゴルドバ様のしまなんだよ 　　　　　　ええ？わかってるのか？こら 　吟遊詩人：おやおや、そう言われましてもねぇ 　　　　　　ゴルドバ様とは一体何様でしょうか？ 　ごろつき：てめえ、どうやら痛い目にあいたいらしいなぁ 　いつのまにか、人だかりが出来ている 　群衆は、吟遊詩人に同情的だが、かといって 　吟遊詩人に味方するのは差し控えているらしい 　えすえす：おっさん、ちょっと歌うぐらいは許してやれよ 　ごろつき：なんだ、貴様 　えすえす：通りすがりの通行人だ 　ごろつき：関係ない奴は引っ込んでろ 　えすえす：そうはいかない、俺はここが通りたいんだ 　ごろつき：よそを通りな 　えすえす：道のどこを通ろうと俺の勝手だろ 　ごろつき：このやろう！ えすえす：思ったよりまだ弱いな 　ごろつきは大振りのパンチをえすえすに浴びせようとする 　えすえすの体が一瞬消える 　いや、ちょっと体を沈めただけだ 　ごろつきのパンチが空を切る 　突き上げるようなタックル 　ごろつきの体が浮き上がり・・・・・ＴＫＯ 　えすえす：これじゃあ、ウォーミングアップにもならない 　　　　　　詩人さん、これで、大丈夫だとおも・・・ 　　　　　　あれ？あなた確か昨日晩カーフと話をしてた吟遊詩人じゃ ロクサーヌ：おや、覚えてましたか 　えすえす：こんな所で何をしているんです？ ロクサーヌ：人を待っているんですよ 　えすえす：誰を？ ロクサーヌ：それより、なまった体をほぐしたいんじゃありませんか？ 　えすえす：まあね 　　　　　　どこか、修行出来そうな場所でもあるのか？ ロクサーヌ：そこの辻を右に曲がって、左手の３番目の酒場に行くと 　　　　　　ゴルドバの腰巾着どもがたむろしてます 　　　　　　もしかしたら、ゴルドバ本人がいるかもしれませんよ 　えすえす：ありがとう 　　　　　　もっとも、三下があの程度じゃ、大した運動にもならないだろうが 　かくして、バレンシアの犯罪組織がひとつ滅んだ 　もっとも、これは余談だ 　ティンカーベルへ戻る途中のウェンディ達に話を移そう 　　アルザ：うわぁ、なんやろ、あれ 　フィリー：あんたねぇ、それ一体何回目なのよ 　　アルザ：なあ、あれ見ていかへんか？ 　フィリー：あんた、迷子になりたいの？ 　　　　　　こんな大きな街で道に迷ったら間違いなく帰れないわよ 　　アルザ：ええやんか、ちょっとぐらい ウェンディ：だからって、どうして私の手を引っ張って行くんですかぁ 　　アルザ：迷子になったら困るさかい 　フィリー：あんたが迷子になったら困るんでしょ 　　アルザ：あたりや ウェンディ：私も帰りの道なんか分かりません！！！ 　　アルザ：ええやんか、ちょっとだけちょっとだけ 　　　　　　・・・・なんや、ロクサーヌはんやないか ウェンディ：ロクサーヌさん？ 　フィリー：何でロクサーヌがこんな所にいるのよ・・・ 　　　　　　あ、ほんとだ 　確かに、ロクサーヌがリュートを弾いている 　もっとも、見た感じは、流しの辻音楽家がお捻りをもらおうと 　しているみたいにしか見えない 　ぱたぱたぱたぱた・・・ 　フィリー：ロクサーヌ！あんた、こんな所で何やってるのよ ロクサーヌ：おやおやおやおや、皆さんお揃いでどうしたんです 　フィリー：私の方が聞いているのよ！ 　　　　　　突然いなくなったと思ったら、こんな所で乞食みたいなマネをして ロクサーヌ：私は単なる吟遊詩人ですよ 　　　　　　道ばたでリュートを弾いても不思議ではないでしょう？ 　フィリー：・・・で、今度は何を企んでいるのよ ロクサーヌ：いえ、あなた方が道に迷っているんじゃないかと思いまして 　フィリー：え？ 　フィリーはあたりを見回して・・・ 　フィリー：！！！！！！！！！ 　　　　　　こんな所、行きは通ってないわよ 　　アルザ：せやったかなぁ、うち、覚えてへんわ ウェンディ：どうしてこうなるんですか！ 　　　　　　・・・・私ってやっぱり・・・・ ロクサーヌ：まあまあまあまあ、だから私がここにいるんじゃありませんか 　　　　　　さあ、一緒に帰りましょう 　フィリー：一緒にって、どういうつもりなのよ ロクサーヌ：いえ、私もお昼をご一緒しようと思いましてね 　フィリー：・・・それって、相当厚かましくない？ 　　アルザ：どうでもええわ、うち、おなかすいてるねん 　　　　　　はよ帰ろうや ロクサーヌ：そうしましょう・・・こちらですよ ウェンディ：だから、どうして私の手をひっぱるんですかぁ・・・・ 　レミット：ねえ、あれ何だったの？アイリス 　アイリス：はあ、大道芸人の一種だと思いますが・・・ 　レミット：ふーん、始めて見たわ 　　　　　　でも、あの人どうして帽子を持っていかなかったの？ 　　ＤＤＴ：よくお気づきで、姫様 　アイリス：はあ、私に聞かれましても・・・・ 　レミット：・・・あれ、誰かが拾って持ってちゃった 　　　　　　知り合いなの？ 　　ＤＤＴ：私は関係ないと思います、姫様 　レミット：今度はこっちに行くわよ、アイリス 　アイリス：ああ、お待ち下さい・・・ 　　ＤＤＴ：あ、お待ちを 　体の小さなレミットは、巧みに人混みの中を泳いでいく 　アイリスとＤＤＴは見失わないようについていくのがやっとだ 　レミット：ねえ、アイリス、あれは何なの？ 　アイリス：はあ、はあ、あ、あれは・・・・ 　さて、では本題に戻るとしよう 　舞台はもちろん・・・・ティンカーベル 　　　楊雲：・・・・ごちそうさまでした・・・・・ 　　アルザ：なんや、船長さんもう食べ終わったんか 　　　　　　早いなぁ 　フィリー：まだ食べているのはあんただけよ 　　ティナ：今朝よりは多めに作ったつもりでしたけど 　　アルザ：まあ、気にせんといてや 　　　　　　最近、おなかいっぱい食べたことあらへんさかいに 　　　リラ：馬鹿の大食いってよく言ったもんねぇ キャラット：そこまで言っちゃ悪いよ 　メイヤー：さあ、出発しましょう キャラット：わーい、やっと上陸できるんだね 　　　リラ：・・・あたしも陸でやっておくことがあるわね 　　　　　　船長、後よろしく 　　　楊雲：・・・・・いってらっしゃい・・・・