水平線に日が沈む 　試運転を終えたティンカーベルは再び帆を張って航海していた 　メイヤー：はい、そこを引っ張ってください 　　アルザ：・・・これでええんか？ 　メイヤー：はい、じゃあちゃんと結びつけて・・・ ウェンディ：・・・あの、何をしているんです 　メイヤー：電飾を設置しているんです ウェンディ：デンショク？ 　メイヤー：古代人の英知です！ 　　　　　　そもそも、電気の発見は・・・・ 　　　リラ：ちょっとメイヤー、これでいいの？ 　メイヤー：はい・・・・・これで終わりですね 　　　　　　では、スイッチを入れますよ 　カチリ ウェンディ：・・・きれいですね キャラット：きれいだなぁ・・・ 　メイヤー：・・・配線に間違いはなかったようですね 　　アルザ：なんやけったいなあかりやなぁ 　一番星、二番星、三番星・・・・・東の空は星が瞬く 　水平線に日が沈み、赤黒く染まる西の空 　その下できらめくイルミネーション 　照らし出されているのは、調査船ティンカーベル 　　　若葉：こっちで良かったのでしょうか？ 　 ティナ：合っていると思いますよ 　　カレン：はーい、みんなお待ちどうさま 　　アルザ：おそかったやんか、おなかぺこぺこや 　　カレン：ごめんねぇアルザちゃん 　　　楊雲：・・・・ごくろうさま・・・・・ 　　カレン：ちょっと、ウェンディちゃん 　　　　　　お皿ならべるのを手伝って ウェンディ：・・・・いいですよ 　　　　　　９人分あれば良いんですね 　フィリー：・・・私もいるんだけど ウェンディ：・・え？ 　　　　　　あ、あのときのぬいぐるみ！？ 　フィリー：あんたねぇ・・・ 　　カレン：フィリーちゃん、普通は驚くわよ 　　　　　　ウェンディちゃん、このこがフィリー 　　　　　　フィリーちゃんは妖精なのよ ウェンディ：妖精なんてこの世にいるわけ無いじゃないですか 　フィリー：私がここにいるじゃないの！ ウェンディ：・・・・・・ 　・・・・やっぱり夢じゃない・・・・ 　　カレン：まあ、ウェンディちゃんもすぐになれるわよ 　　　　　　私だって、最初は驚くことばっかりだったんだから ウェンディ：・・そういえば、ロクサーヌさんの分は用意しなくて良いんですか？ 　フィリー：あいつは、いつ現れるか分からないから良いわよ 　　　楊雲：・・・今日はこないって言ってました・・・・ 　フィリー：ふーん、じゃあ静かで良いわね 　おまえがいるだけで十分騒がしいと思うんだが 　　ティナ：あの、ならべ終わりましたけど 　　カレン：ありがとうティナちゃん 　　　　　　さあ、パーティを始めるわよ 　　アルザ：待ってました！ キャラット：わーい 　甲板の上に、折り畳み式のテーブル 　その上には料理と皿がならべられている ウェンディ：・・・・・・ 　　カレン：どうしたの？ウェンディちゃん 　　アルザ：料理が少なすぎるんちゃうか？ 　　　　　　どう見ても２人前はないで 　フィリー：あんた、それじゃ一人前がどれだけの量になるのよ 　フィリーが言うのも無理はない 　普通なら、２０人前と言ったところであろう 　テーブルの真ん中には直径８０ｃｍのケーキ 　飼い葉桶のように大きなボールに大盛りのサラダ 　お菓子屋さんにだって、こんなにはないと思えるほどの色とりどりのクッキー 　一抱えもあるたるの中にはオレンジジュースがいっぱい キャラット：食べきれるかなぁ 　　　楊雲：・・・食べ物を粗末にしてはいけませんよ・・・ 　　カレン：そう？１０人に合わせて作ったつもりなんだけど 　　　リラ：あんたも相当ずれてるわね 　　アルザ：せや、こんなんうち一人で半分以上食べてまうで 　　ティナ：健康なんですね 　　アルザ：それが取り柄やさかいな 　　カレン：じゃあ、まずは乾杯しましょう 　　　　　　キャラットちゃん、手伝って キャラット：はーい 　木のコップにオレンジジュースが注がれていく 　いつのまにか、あたりには夜のとばりがおりていた 　　カレン：じゃあ、乾杯の音頭は・・・・・船長、お願いします 　　　楊雲：・・・・・・他の方の方がよろしいのでは・・・・・ 　　カレン：全員が一カ所に揃ったのはこれが初めてですから 　　　　　　船長としての挨拶を兼ねてやってもらえませんか 　　　楊雲：・・・そうですね・・・・・・ 　　　　　　では、ティンカーベルの平穏なる航海と 　　　　　　古代の神秘の発見を祈って・・・・ 　　　　　　・・・・乾杯・・・・・ 　　　一同：乾杯！ 　乾杯が終わればパーティの始まりである 　　カレン：さあ、ケーキを切り分けるわよ 　　　リラ：あたしはいらない 　　アルザ：せやたら、うちにちょうだいな 　　　若葉：よろしかったら私の分もどうぞ☆ 　　アルザ：おおきありがと 　　　楊雲：・・・・私もケーキは要りません・・・・ 　　アルザ：なんやみんな小食なんやなぁ 　　　　　　そんなんやったらすぐばててまうで 　　ティナ：・・・ごめんなさい キャラット：ちょっと、アルザ、今のは・・・ 　　アルザ：せやな、ティナはん、ごめん 　　ティナ：いえ、そんな・・・・・ ウェンディ：・・・・あなたも不幸なんですね 　　ティナ：いえ、私は不幸じゃないですよ 　　　　　　だって、みんながいてくれます ウェンディ：・・・・・ 　・・・・そういえば、こんなパーティに参加するのは何年ぶりだろう・・・・・ 　・・・・ずっと昔には、誕生日を祝ってもらったこともあったっけ・・・・