僕は、マグストラタム学園の召喚学科に所属する特待生だ。
そういう言い方をすると、何かすごい優等生のようにも聞こえるけど
実体はといえば、落第寸前の落ちこぼれ。
学園では、落第すると特待生の資格を剥奪される。つまり
まともに授業料を払わなければならなくなるんだ。
そういう言い方をすると、何かすごい優等生のようにも聞こえるけど
実体はといえば、落第寸前の落ちこぼれ。
学園では、落第すると特待生の資格を剥奪される。つまり
まともに授業料を払わなければならなくなるんだ。
残念なことに、僕は一流の魔法学園の授業料が払えるほどの経済力はない。
だから、落第即退学ということになる。
だからといって、僕を落第させようとする先生を責めるわけにもいかない。
なにしろ、僕は今まで全然召喚に成功したことはなかったんだから。
だから、落第即退学ということになる。
だからといって、僕を落第させようとする先生を責めるわけにもいかない。
なにしろ、僕は今まで全然召喚に成功したことはなかったんだから。
今は、違う。僕も特殊触媒「ケータイデンワ」のおかげで
召喚獣…いやさ、召喚少女５人を召喚出来るようになったから
今までこなせなかった課題も次々とこなせるようになったんだ。
召喚獣…いやさ、召喚少女５人を召喚出来るようになったから
今までこなせなかった課題も次々とこなせるようになったんだ。
だけど、今、僕らの国は戦争中。マグストラタム学園は
軍人養成学校の側面があって、緊急時には生徒も戦場に
向かわなければならない。まるでルフタールの魔法学校みたいだ。
軍人養成学校の側面があって、緊急時には生徒も戦場に
向かわなければならない。まるでルフタールの魔法学校みたいだ。
そして、僕らは、本当に戦場に向かわなければならなくなった。
それも、敵の本拠地で破壊工作なんていう、危険任務を。
もちろん、シープクレストの英雄、ルシードの手助けを受けられる
予定だったんだけど、途中でルシードさんが陽動のために抜けちゃって
僕らだけでやらなければならなくなったんだ。
それも、敵の本拠地で破壊工作なんていう、危険任務を。
もちろん、シープクレストの英雄、ルシードの手助けを受けられる
予定だったんだけど、途中でルシードさんが陽動のために抜けちゃって
僕らだけでやらなければならなくなったんだ。
僕ら、っていっても、主席のアスレイや優等生のレッジがいてくれるから
僕としては気が楽だったし、何より、僕らはやってのけた！
僕としては気が楽だったし、何より、僕らはやってのけた！
まどか：あらすじはそれぐらいでよろしいですかマスター。
マスター：ああ、もうこれで大丈夫だよ。
まどか：でしたら、話題をホートウィッシュにうつしても大丈夫ですね。
マスター：うつしても大丈夫って、もしかして、僕の出番は今回これで終わり？
まどか：何をおっしゃってるのかよくわかりませんが、ここはホートウィッシュじゃありませんよ。
マスター：そういえば、そうだったね。
卯月：まどかごめんね、みんなまどかんちに押しかけちゃって。
まどか：いえ、大丈夫ですよ。
マキ：さすがに、男の子を泊めるってのは抵抗がありますから。
結：都合良くまどかさんのご両親がお出かけでたすかりました。
晶：お出かけでなくても、まどかの家のやっかいになるつもりだったでしょ。
アスレイ：…
アッシュ：…
卯月：あれ？どうしたの二人とも、魂が抜けたような顔して。
アスレイ：…あなたたち、普通に人間にみえるんだけど…
マキ：あれ、言ってませんでしたか？召喚されるときだけ召喚獣の姿になるんですよ。
晶：いわゆるコスプレね。
アッシュ：……召喚獣の世界って、もっと自然に囲まれてるって思ってた。
結：ふふ。人工物ばかりで居心地が悪いかしら。
アスレイ：魔力密度も異様に低いわね。一体こんな世界でどんな魔法の勉強が出来るのかしら。
まどか：逆ですよ。魔力密度が低いから、人間形態なんですよ。
マスター：うん、詳しいことは、ビルギエッタ先生に教わってもわからなかったけど…
アスレイ：思い出したから、それ以上の説明はいいわ。魔力密度の高い私たちの世界での形態と
魔力密度の低い本来の世界とでの形態が異なる召喚獣は珍しくないのよ。
まどか：さて、退屈でしょうからテレビでも見ましょうか。
卯月：サッカーやってるでしょ。サッカー。
アッシュ：サッカー？
卯月：そういうスポーツがあるんだよ。さあ、まどかつけてよ。
まどか：私はDVDでも見ようかとおもってたんですけど。
結：まあまあ、まずはお茶にしませんか？
晶：簡単に茶菓子は作ったわよ。
マスター：ありがとう結、晶
マスター：ああ、もうこれで大丈夫だよ。
まどか：でしたら、話題をホートウィッシュにうつしても大丈夫ですね。
マスター：うつしても大丈夫って、もしかして、僕の出番は今回これで終わり？
まどか：何をおっしゃってるのかよくわかりませんが、ここはホートウィッシュじゃありませんよ。
マスター：そういえば、そうだったね。
卯月：まどかごめんね、みんなまどかんちに押しかけちゃって。
まどか：いえ、大丈夫ですよ。
マキ：さすがに、男の子を泊めるってのは抵抗がありますから。
結：都合良くまどかさんのご両親がお出かけでたすかりました。
晶：お出かけでなくても、まどかの家のやっかいになるつもりだったでしょ。
アスレイ：…
アッシュ：…
卯月：あれ？どうしたの二人とも、魂が抜けたような顔して。
アスレイ：…あなたたち、普通に人間にみえるんだけど…
マキ：あれ、言ってませんでしたか？召喚されるときだけ召喚獣の姿になるんですよ。
晶：いわゆるコスプレね。
アッシュ：……召喚獣の世界って、もっと自然に囲まれてるって思ってた。
結：ふふ。人工物ばかりで居心地が悪いかしら。
アスレイ：魔力密度も異様に低いわね。一体こんな世界でどんな魔法の勉強が出来るのかしら。
まどか：逆ですよ。魔力密度が低いから、人間形態なんですよ。
マスター：うん、詳しいことは、ビルギエッタ先生に教わってもわからなかったけど…
アスレイ：思い出したから、それ以上の説明はいいわ。魔力密度の高い私たちの世界での形態と
魔力密度の低い本来の世界とでの形態が異なる召喚獣は珍しくないのよ。
まどか：さて、退屈でしょうからテレビでも見ましょうか。
卯月：サッカーやってるでしょ。サッカー。
アッシュ：サッカー？
卯月：そういうスポーツがあるんだよ。さあ、まどかつけてよ。
まどか：私はDVDでも見ようかとおもってたんですけど。
結：まあまあ、まずはお茶にしませんか？
晶：簡単に茶菓子は作ったわよ。
マスター：ありがとう結、晶
などという、平和な会話が交わされていたころ、ホートウィッシュでは
ホートウィッシュ攻防戦の山場を迎えていたらしいんだ。
ホートウィッシュ攻防戦の山場を迎えていたらしいんだ。
アレク：なんとしたことだこれは！
エイミィ：いいわけ、しない。補給拠点、叩かれた。
アレク：くっ！ルシードは遠ざけておいたはずだ！
エイミィ：ルシード、囮、はじめからわかってた。
アレク：それで、あいつらはどうした。当然血祭りに上げたんだろうな。
エイミィ：異世界に、逃げた。
アレク：逃げた？逃がしたのか！
エイミィ：…いいわけ、しない。帰ったら、長に怒られてくる。
アレク：だが、こちらの被害は甚大というほどではない。全力で攻めれば落とせる！
エイミィ：落とせるかも、しれない。だけど、ホートウィッシュ、まだ援軍使ってない。
アレク：援軍を使ってないだと！
エイミィ：エイミィ、説明したはず。王都から、援軍来たら、主力で、王都、落とす。
アレク：…王都の守りはまだ固められているままということか。
エイミィ：３つ、選択肢、ある。長に、指示、あおいでる。
アレク：３つ？
エイミィ：今すぐ兵を引くのが、第一。
アレク：論外だ！ここまで戦いを続けたというのに！
エイミィ：魔族軍を呼び返して、ホートウィッシュを全力攻撃、これが第２。
アレク：…普通に考えれば、そうなるだろう。
エイミィ：手持ちの全力で攻撃するのが、第三。
アレク：勝ち目はあるのか？落とせるか？
エイミィ：勝ち目、ない。
アレク：なんだと！
エイミィ：エイミィ達、魔族軍主力、逃がす、囮になる。
アレク：…
エイミィ：今度のこと、エイミィの失態。エイミィ、責任、とる。
アレク：…普通に殿をつとめればいいだろう。何も死ぬこともあるまい。
エイミィ：エイミィが負けて、調子にのって追撃してくれば、主力で、人間ども、叩ける。
アレク：…
エイミィ：そのときには、アレック、大手柄。ルシード相手の失態、取り返せる。
アレク：失態いうな！…相手が相手なんだぞ。
エイミィ：実は、長、もう命令、下した。
アレク：なんだ。それならそうと早く言え。それで、全力攻撃に決まっているな。
エイミィ：…総撤退準備に決まった。
アレク：総撤退準備？なんだそりゃ。
エイミィ：折衷案。魔族軍主力が撤退するまで、限定的な、攻撃、する。
アレク：限定的…全力ではないのか。
エイミィ：撤退完了したら、エイミィ達、引き上げる。
アレク：…あと一息なのだぞ。後一撃加えれば、ホートウィッシュはおちるんだ。
エイミィ：補給、続かない。補給をためるまで、大作戦、出来ない。
アレク：破壊は限定的だったはずだ！
エイミィ：攻撃に使う補給、半端無い、もう限界。
アレク：…………ちくしょう！ちくしょう！ちくしょう・・・・
エイミィ：今回は、人間達の勝ち。アレック、認める。
アレク：認められるか！ひよっこどもにこんな手もなくひねられるなんて…
エイミィ：ひよっこども、違う。
アレク：なんだと？
エイミィ：若い、勇者達。向こう見ずだけど、勇気は、有り余ってる。
アレク：そういえば、どうやってあいつらは逃げ出した。ちゃんと網は張ってあったろう。
エイミィ：作戦は、完璧。ただ、逆召喚された。
アレク：逆召喚？
エイミィ：さすが、ルテジアの子、召喚獣を送還するときに、自分も一緒に行った。
アレク：どうやって帰るつもりなんだ。
エイミィ：ルテジア、呼び返す。
アレク：…そうか。三魔将の将ルテジアになら出来る…
エイミィ：さあ、アレック、攻撃準備。
アレク：攻撃準備？
エイミィ：長の命令。主力が撤退するまで、手を休めること、出来ない。
アレク：…わかった。全力を出していいんだな？
エイミィ：蜥蜴兵なら、全力でいい。補給、いずれにせよ、来ない。
アレク：わかった。…全力攻撃で、落としちゃっても、いいんだよな。
エイミィ：手加減、不要。落とせるなら、落としてもいい。
アレク：わかった。…みんな悲観的すぎだ。あたしが落としてやるよ。
エイミィ：いいわけ、しない。補給拠点、叩かれた。
アレク：くっ！ルシードは遠ざけておいたはずだ！
エイミィ：ルシード、囮、はじめからわかってた。
アレク：それで、あいつらはどうした。当然血祭りに上げたんだろうな。
エイミィ：異世界に、逃げた。
アレク：逃げた？逃がしたのか！
エイミィ：…いいわけ、しない。帰ったら、長に怒られてくる。
アレク：だが、こちらの被害は甚大というほどではない。全力で攻めれば落とせる！
エイミィ：落とせるかも、しれない。だけど、ホートウィッシュ、まだ援軍使ってない。
アレク：援軍を使ってないだと！
エイミィ：エイミィ、説明したはず。王都から、援軍来たら、主力で、王都、落とす。
アレク：…王都の守りはまだ固められているままということか。
エイミィ：３つ、選択肢、ある。長に、指示、あおいでる。
アレク：３つ？
エイミィ：今すぐ兵を引くのが、第一。
アレク：論外だ！ここまで戦いを続けたというのに！
エイミィ：魔族軍を呼び返して、ホートウィッシュを全力攻撃、これが第２。
アレク：…普通に考えれば、そうなるだろう。
エイミィ：手持ちの全力で攻撃するのが、第三。
アレク：勝ち目はあるのか？落とせるか？
エイミィ：勝ち目、ない。
アレク：なんだと！
エイミィ：エイミィ達、魔族軍主力、逃がす、囮になる。
アレク：…
エイミィ：今度のこと、エイミィの失態。エイミィ、責任、とる。
アレク：…普通に殿をつとめればいいだろう。何も死ぬこともあるまい。
エイミィ：エイミィが負けて、調子にのって追撃してくれば、主力で、人間ども、叩ける。
アレク：…
エイミィ：そのときには、アレック、大手柄。ルシード相手の失態、取り返せる。
アレク：失態いうな！…相手が相手なんだぞ。
エイミィ：実は、長、もう命令、下した。
アレク：なんだ。それならそうと早く言え。それで、全力攻撃に決まっているな。
エイミィ：…総撤退準備に決まった。
アレク：総撤退準備？なんだそりゃ。
エイミィ：折衷案。魔族軍主力が撤退するまで、限定的な、攻撃、する。
アレク：限定的…全力ではないのか。
エイミィ：撤退完了したら、エイミィ達、引き上げる。
アレク：…あと一息なのだぞ。後一撃加えれば、ホートウィッシュはおちるんだ。
エイミィ：補給、続かない。補給をためるまで、大作戦、出来ない。
アレク：破壊は限定的だったはずだ！
エイミィ：攻撃に使う補給、半端無い、もう限界。
アレク：…………ちくしょう！ちくしょう！ちくしょう・・・・
エイミィ：今回は、人間達の勝ち。アレック、認める。
アレク：認められるか！ひよっこどもにこんな手もなくひねられるなんて…
エイミィ：ひよっこども、違う。
アレク：なんだと？
エイミィ：若い、勇者達。向こう見ずだけど、勇気は、有り余ってる。
アレク：そういえば、どうやってあいつらは逃げ出した。ちゃんと網は張ってあったろう。
エイミィ：作戦は、完璧。ただ、逆召喚された。
アレク：逆召喚？
エイミィ：さすが、ルテジアの子、召喚獣を送還するときに、自分も一緒に行った。
アレク：どうやって帰るつもりなんだ。
エイミィ：ルテジア、呼び返す。
アレク：…そうか。三魔将の将ルテジアになら出来る…
エイミィ：さあ、アレック、攻撃準備。
アレク：攻撃準備？
エイミィ：長の命令。主力が撤退するまで、手を休めること、出来ない。
アレク：…わかった。全力を出していいんだな？
エイミィ：蜥蜴兵なら、全力でいい。補給、いずれにせよ、来ない。
アレク：わかった。…全力攻撃で、落としちゃっても、いいんだよな。
エイミィ：手加減、不要。落とせるなら、落としてもいい。
アレク：わかった。…みんな悲観的すぎだ。あたしが落としてやるよ。
アレクサンドラは、森の中にしつらえられた魔族軍の司令室から出て行った。
エイミィは、撤退作戦の計画書を書くのに一生懸命である。
戦いの中でもっとも難しいのが、退却戦である。
大抵の戦いで、全力でぶつかり合っているときの損害より
撤退戦の追撃で受ける損害の方が大きいものだ。
エイミィは、撤退作戦の計画書を書くのに一生懸命である。
戦いの中でもっとも難しいのが、退却戦である。
大抵の戦いで、全力でぶつかり合っているときの損害より
撤退戦の追撃で受ける損害の方が大きいものだ。
さて、一方こちらはホートウィッシュの作戦司令部の方である。
伝令：申し上げます！魔族軍の総攻撃！
オズワルド：なに！しばらく鳴りを潜めていたと思ったが、力を蓄えていたのか。
ヒルダ：王都に援軍を頼みますか？
オズワルド：いや、…私は、彼らを信じている。これは最後のあがきかもしれん。
ヒルダ：では、今まで通り。
オズワルド：うむ。今まで通り、全力で守るのみ。
ヒルダ：では、私はこれから前線に出て参ります。
オズワルド：いや、今君に前線に出られるとこまる。
ヒルダ：ですが、もはや前線を支える魔導師はそこ払いしました。
負傷者を前線に出すのは、城壁が完全に破られた後にいたしましょう。
オズワルド：………わかった。君がそこまでいうなら、仕方ないな。
ヒルダ：…ルシード達が戻ってくれば、私も前線に出ずにすむのですが。
オズワルド：…話をしている暇はないのだろう？行ってきなさい。
ヒルダ：はっ！
オズワルド：なに！しばらく鳴りを潜めていたと思ったが、力を蓄えていたのか。
ヒルダ：王都に援軍を頼みますか？
オズワルド：いや、…私は、彼らを信じている。これは最後のあがきかもしれん。
ヒルダ：では、今まで通り。
オズワルド：うむ。今まで通り、全力で守るのみ。
ヒルダ：では、私はこれから前線に出て参ります。
オズワルド：いや、今君に前線に出られるとこまる。
ヒルダ：ですが、もはや前線を支える魔導師はそこ払いしました。
負傷者を前線に出すのは、城壁が完全に破られた後にいたしましょう。
オズワルド：………わかった。君がそこまでいうなら、仕方ないな。
ヒルダ：…ルシード達が戻ってくれば、私も前線に出ずにすむのですが。
オズワルド：…話をしている暇はないのだろう？行ってきなさい。
ヒルダ：はっ！
ヒルダは、伝令と共に作戦司令部を出て行く。
オズワルド将軍もまた、司令部の外に出て、魔族軍の攻撃の様子を感じ取ろうとする。
オズワルド将軍もまた、司令部の外に出て、魔族軍の攻撃の様子を感じ取ろうとする。
オズワルド：…今までとは攻撃の形が違う。…
魔法障壁を叩く魔法が、隕石系から、火炎系へと変わっている。
今まで、空から城門を狙う攻撃が主だったが、こんどは城壁を攻城槌で壊そうとしているようだ。
今まで、空から城門を狙う攻撃が主だったが、こんどは城壁を攻城槌で壊そうとしているようだ。
オズワルド：指揮官がかわったのか？この攻撃は…アレクサンドラかもしれんな。
前線魔族軍の全力攻撃か。
伝令：申し上げます。敵第一波は阻止。
オズワルド：すぐに次の攻撃が来る。油断するな。
伝令：はっ！
オズワルド：私は、救護所に行く、指揮は前線のヒルダに任せる。そうヒルダに伝えろ。
伝令：かしこまりました。
前線魔族軍の全力攻撃か。
伝令：申し上げます。敵第一波は阻止。
オズワルド：すぐに次の攻撃が来る。油断するな。
伝令：はっ！
オズワルド：私は、救護所に行く、指揮は前線のヒルダに任せる。そうヒルダに伝えろ。
伝令：かしこまりました。
リンクス：それで、オズワルド将軍がなんのようだ。
オズワルド：最後の予備兵力が必要になった。
リンクス：ここにいるのはけが人だけだ。つかいもんにはならん。
オズワルド：…だが、魔族軍に敗れたなら、彼らの命はどうなるとおもう。
リンクス：さあな。そうならないようにするのが、あんたの仕事だ。
オズワルド：…その通りだ。だが、…
リンクス：くどい。…こっちは忙しいんだ。
オズワルド：最後の予備兵力が必要になった。
リンクス：ここにいるのはけが人だけだ。つかいもんにはならん。
オズワルド：…だが、魔族軍に敗れたなら、彼らの命はどうなるとおもう。
リンクス：さあな。そうならないようにするのが、あんたの仕事だ。
オズワルド：…その通りだ。だが、…
リンクス：くどい。…こっちは忙しいんだ。
魔族軍の攻撃が起きれば、たちまち救護所も戦場と化す。
前線が、いかにして人を殺すかを競う戦場なら、こちらは
いかにして人を生かすかを競う戦場だ。
いかなる戦場でも、全力を投じなければ勝利は見えてこない。
いや、こうしている間にも、次々と負傷者が運び込まれて来る。
いかな、対魔族戦争の全権をゆだねられているオズワルドといえども
ここでは何も出来ることはない。
前線が、いかにして人を殺すかを競う戦場なら、こちらは
いかにして人を生かすかを競う戦場だ。
いかなる戦場でも、全力を投じなければ勝利は見えてこない。
いや、こうしている間にも、次々と負傷者が運び込まれて来る。
いかな、対魔族戦争の全権をゆだねられているオズワルドといえども
ここでは何も出来ることはない。
リンクス以外の医者も、マグストラタム学園から動員された生徒達も
かいがいしく働いている。…
かいがいしく働いている。…
オズワルド：外で待っているのは、かまわんだろう。
リンクス：勝手にしてくれ。
リンクス：勝手にしてくれ。
オズワルドは、救護所の外の門に出た。
だが、もはや予備兵力はどこにも残っていない。
ヒルダが率いて出た司令部の警備隊で、まともな戦力は最後なのだ。
だが、もはや予備兵力はどこにも残っていない。
ヒルダが率いて出た司令部の警備隊で、まともな戦力は最後なのだ。
？？？？：将軍がぼんやりできるなんて、こりゃ勝ったも同然かしらね。
オズワルド：どっちが勝つといいたいのかな。
ルテジア：さあ、どっちかしらね。
オズワルド：……君は、行かなくていいのか？
ルテジア：どこへです？あたしは、ここにいてやらないといけないんですよ。あいつが帰ってくるために。
オズワルド：あの少年か。無事に戻ってくるといいな。
ルテジア：…無事に戻ってこないようなら、私にも、考えがありますよ。
オズワルド：私を脅迫するつもりかね。
ルテジア：全然。ですけど、弟を戦場に送る姉は、みんな同じように感じてるんですよ。
オズワルド：…………そうだろうな。
ルテジア：ま、あいつのことだから、無事に帰ってこれないのよね。あーあ、世話がやけるったら。
オズワルド：…どういうことなんだ。
ルテジア：いえいえ、こっちの話。それより、こんなところで将軍が油売ってていいんですか？
オズワルド：最後の部隊を編成するつもりで来たんだよ。追い返されたがね。
ルテジア：最後の部隊なら、ここにありますよ。
オズワルド：ここに？…どこに。
ルテジア：あなたと、私。二人いれば十分。
オズワルド：また冗談を。私は君を戦場に送るつもりはない。
ルテジア：けが人を戦場に送ろうとした当人がよく言うわね。
オズワルド：…彼らは、我が軍の兵士だ。祖国への義務を果たさねばならん。君は…
ルテジア：あたしは、血がつながって無くても、あいつの姉なんですよ。義務は果たさなければ。
オズワルド：…義務か。彼が退役してもう何年になるのだろうね…
ルテジア：あいつが生まれる前ですからね。…ずっと昔ですよ。
伝令：申し上げます、魔族軍城壁突破、ヒルダ様が最前線で戦闘中。
オズワルド：わかった、直ちに援軍を出すと伝えよ。
伝令：はっ！
ルテジア：援軍？ちゃんと予備があるんじゃない。
オズワルド：私と、君と、二人だけだよ。
ルテジア：あらあら、私の話を真に受けたんですか。
オズワルド：やめておくかね。
ルテジア：いえ、行かせてもらいますよ。
オズワルド：どっちが勝つといいたいのかな。
ルテジア：さあ、どっちかしらね。
オズワルド：……君は、行かなくていいのか？
ルテジア：どこへです？あたしは、ここにいてやらないといけないんですよ。あいつが帰ってくるために。
オズワルド：あの少年か。無事に戻ってくるといいな。
ルテジア：…無事に戻ってこないようなら、私にも、考えがありますよ。
オズワルド：私を脅迫するつもりかね。
ルテジア：全然。ですけど、弟を戦場に送る姉は、みんな同じように感じてるんですよ。
オズワルド：…………そうだろうな。
ルテジア：ま、あいつのことだから、無事に帰ってこれないのよね。あーあ、世話がやけるったら。
オズワルド：…どういうことなんだ。
ルテジア：いえいえ、こっちの話。それより、こんなところで将軍が油売ってていいんですか？
オズワルド：最後の部隊を編成するつもりで来たんだよ。追い返されたがね。
ルテジア：最後の部隊なら、ここにありますよ。
オズワルド：ここに？…どこに。
ルテジア：あなたと、私。二人いれば十分。
オズワルド：また冗談を。私は君を戦場に送るつもりはない。
ルテジア：けが人を戦場に送ろうとした当人がよく言うわね。
オズワルド：…彼らは、我が軍の兵士だ。祖国への義務を果たさねばならん。君は…
ルテジア：あたしは、血がつながって無くても、あいつの姉なんですよ。義務は果たさなければ。
オズワルド：…義務か。彼が退役してもう何年になるのだろうね…
ルテジア：あいつが生まれる前ですからね。…ずっと昔ですよ。
伝令：申し上げます、魔族軍城壁突破、ヒルダ様が最前線で戦闘中。
オズワルド：わかった、直ちに援軍を出すと伝えよ。
伝令：はっ！
ルテジア：援軍？ちゃんと予備があるんじゃない。
オズワルド：私と、君と、二人だけだよ。
ルテジア：あらあら、私の話を真に受けたんですか。
オズワルド：やめておくかね。
ルテジア：いえ、行かせてもらいますよ。
状況は、伝令が言うほどは悪くなかった。
城壁が破られたとはいえ、ヒルデガード率いる警備隊は蜥蜴兵の侵入を防いでいる。
城壁の穴が蜥蜴兵の死体で埋まろうかという勢いだ。
だが、蜥蜴兵の方も、ここを突破すればホートウィッシュが落とせるとあって
ひるむ気配は全くない。いや、ひるめば直ちにアレクサンドラに焼き殺されるとあっては
ひるむわけにはいかないのだ。
城壁が破られたとはいえ、ヒルデガード率いる警備隊は蜥蜴兵の侵入を防いでいる。
城壁の穴が蜥蜴兵の死体で埋まろうかという勢いだ。
だが、蜥蜴兵の方も、ここを突破すればホートウィッシュが落とせるとあって
ひるむ気配は全くない。いや、ひるめば直ちにアレクサンドラに焼き殺されるとあっては
ひるむわけにはいかないのだ。
アレク：進め！行け！蜥蜴兵ども！あそこに見えるのは敵の副官！敵の兵は尽きているぞ！
ヒルダ：くぅ…回復魔法で耐えているけれど、時間の問題かしらね。
ルテジア：えらく苦戦してるみたいね。ビルギエッタ先生は？
ヒルダ：ルテジア？…けが人の手当をお願い。
オズワルド：ヒルデガードくん、下がりたまえ。ここは、私が防ごう。
ヒルダ：閣下！それはいけません。
アレク：兵ども！あれに見えるは敵の将！討ち取れば恩賞は望みのままだぞ！
ヒルダ：くぅ…回復魔法で耐えているけれど、時間の問題かしらね。
ルテジア：えらく苦戦してるみたいね。ビルギエッタ先生は？
ヒルダ：ルテジア？…けが人の手当をお願い。
オズワルド：ヒルデガードくん、下がりたまえ。ここは、私が防ごう。
ヒルダ：閣下！それはいけません。
アレク：兵ども！あれに見えるは敵の将！討ち取れば恩賞は望みのままだぞ！
蜥蜴兵が勢いづいて押し寄せる。
どうやら、オズワルドの登場は、火に油を注いだらしい。
どうやら、オズワルドの登場は、火に油を注いだらしい。
オズワルド：年は取っても腕はにぶっておらんぞ。さあ、死にたいものからかかってこい！
ルテジア：さがってみんな！
ルテジア：さがってみんな！
城壁のまわりに、光の粒が無数に現れる。
アレク：これはまさか？
ルシード：はじけろ究極破壊魔法！ヴァニシング＝イクスプロージョン！
ルシード：はじけろ究極破壊魔法！ヴァニシング＝イクスプロージョン！
オズワルド：派手にやってくれたものだな。
ヒルダ：無茶苦茶です…城壁を崩して城壁の穴をふさぐなんて…
ルシード：将軍！すぐに城塞上の射撃隊をここへ集めてください！
ティセ：ご主人さまぁ。なんでこんなことが出来るなら、ずっと隠れてたんですかあ。
ルシード：勝負を決めるのは最後の部隊なのよ。…と、遅くなりましたオズワルド将軍。
オズワルド：ルシードくんか。任務は達成されたのだな。
ルシード：ええ、敵補給基地の破壊は成功しました。私は外から確認しただけですけど。
ヒルダ：あの子達は？
ルテジア：逆召喚で、召喚少女達の世界にいるわよ。あいつがケータイで教えてくれたわ。
ヒルダ：なんて無茶をするのかしら。
オズワルド：私の見込んだとおりの子供達だ。…彼らなら、きっとやってくれると思ったよ。
ルシード：まったく、人使いの荒い上司に仕えると部下は大変ですよ。
アレク：おのれ…またしても貴様かルシード！
ルシード：それはこっちの台詞よ。…やるまえから勝負はついてるんでしょ。おとなしく下がりなさい！
アレク：黙れ！おまえ達さえ倒せば…ここを抜きさえすれば我々の勝ちなのはわかっている！
ヒルダ：無茶苦茶です…城壁を崩して城壁の穴をふさぐなんて…
ルシード：将軍！すぐに城塞上の射撃隊をここへ集めてください！
ティセ：ご主人さまぁ。なんでこんなことが出来るなら、ずっと隠れてたんですかあ。
ルシード：勝負を決めるのは最後の部隊なのよ。…と、遅くなりましたオズワルド将軍。
オズワルド：ルシードくんか。任務は達成されたのだな。
ルシード：ええ、敵補給基地の破壊は成功しました。私は外から確認しただけですけど。
ヒルダ：あの子達は？
ルテジア：逆召喚で、召喚少女達の世界にいるわよ。あいつがケータイで教えてくれたわ。
ヒルダ：なんて無茶をするのかしら。
オズワルド：私の見込んだとおりの子供達だ。…彼らなら、きっとやってくれると思ったよ。
ルシード：まったく、人使いの荒い上司に仕えると部下は大変ですよ。
アレク：おのれ…またしても貴様かルシード！
ルシード：それはこっちの台詞よ。…やるまえから勝負はついてるんでしょ。おとなしく下がりなさい！
アレク：黙れ！おまえ達さえ倒せば…ここを抜きさえすれば我々の勝ちなのはわかっている！
ルシード：勝てるかしらねぇ…飛行兵達はもうとっくに収容陣地に向かってるみたいだけど。
アレク：なんだと！
エイミィ：アレック、もう戦い、終わり。……魔族軍主力、収容陣地に下がった。
アレク：エイミィ！
エイミィ：始めまして、人間の将。エイミィは、エイミィ。ここの指揮官。
オズワルド：はじめまして、かな。エイミィ殿。
エイミィ：人間の将、エイミィ、休戦提案に来た。
オズワルド：休戦提案？
エイミィ：このまま戦う、お互い、無駄に傷つく。アレック達、下がるの、見逃す。
オズワルド：それで、我々にどんなメリットがある。
エイミィ：何百人か、お互い死にあうか、そうでないか、好きな方、選ぶ。
蜥蜴兵、使い捨て。死んでも、エイミィ、困らない。
ヒルダ：将軍、今休戦しては追撃できません。このさい王都から騎士団を呼び寄せて撃破しまよう。
オズワルド：…わかった。今から、明日の朝まで、休戦することに同意する。
エイミィ：それだけあれば、十分。話、まとまった、アレック、帰ろう。
アレク：なんだと！もう一息なのだぞ！私がルシードを血祭りにあげたら…
エイミィ：レバタラの話、聞き飽きた。アレック、長の命令、忘れてる。
アレク：…ちくしょう！…目の前に敵がいるというのに…！
エイミィ：アレック、少し、頭冷やそうか…
アレク：大きなお世話だ！…蜥蜴兵ども！撤退だ！
アレク：なんだと！
エイミィ：アレック、もう戦い、終わり。……魔族軍主力、収容陣地に下がった。
アレク：エイミィ！
エイミィ：始めまして、人間の将。エイミィは、エイミィ。ここの指揮官。
オズワルド：はじめまして、かな。エイミィ殿。
エイミィ：人間の将、エイミィ、休戦提案に来た。
オズワルド：休戦提案？
エイミィ：このまま戦う、お互い、無駄に傷つく。アレック達、下がるの、見逃す。
オズワルド：それで、我々にどんなメリットがある。
エイミィ：何百人か、お互い死にあうか、そうでないか、好きな方、選ぶ。
蜥蜴兵、使い捨て。死んでも、エイミィ、困らない。
ヒルダ：将軍、今休戦しては追撃できません。このさい王都から騎士団を呼び寄せて撃破しまよう。
オズワルド：…わかった。今から、明日の朝まで、休戦することに同意する。
エイミィ：それだけあれば、十分。話、まとまった、アレック、帰ろう。
アレク：なんだと！もう一息なのだぞ！私がルシードを血祭りにあげたら…
エイミィ：レバタラの話、聞き飽きた。アレック、長の命令、忘れてる。
アレク：…ちくしょう！…目の前に敵がいるというのに…！
エイミィ：アレック、少し、頭冷やそうか…
アレク：大きなお世話だ！…蜥蜴兵ども！撤退だ！
こうして、ホートウィッシュ攻防戦は終了した。
魔族軍の側もぼろぼろになって兵を引くのだが
ホートウィッシュ防衛隊の方も、到底追撃出来る余力はなく
お互い、協定は渡りに船だったと言えるだろう。
魔族軍の側もぼろぼろになって兵を引くのだが
ホートウィッシュ防衛隊の方も、到底追撃出来る余力はなく
お互い、協定は渡りに船だったと言えるだろう。
1人の考えをのぞいては。
エイミィ：…残念。人間の将、もっと頭悪いかと思ってた。
アレク：エイミィ、それは一体どういうことだ？
エイミィ：弱み、見せたら、調子に乗る。
アレク：それで？
エイミィ：人間の将、王都から兵を出したら、主力で、王都、落とせる。
アレク：だが、こっちは全滅だろう。
エイミィ：それで、いい。戦いには、勝てる。
アレク：…エイミィ、あんた、あたしより狂ってないか。
エイミィ：これが、戦争。戦争、スポーツ、違う。
アレク：あたしにはわからないよ。わからない。…なんでみんな死にたがるんだ。
殺されないように殺すのが戦いだろ。
エイミィ：みんな、そう思う。だから、戦争、なくならない。
アレク：まあ、あたしには関係ないか。
態勢を整えて、また、攻めれば済むことだ。
エイミィ：今回、魔族の損害、ほとんどない。長、失敗とは、思ってない。
アレク：だが、兵達は、負けたとおもうかもしれない。
エイミィ：そうかもしれない。でも、まだ、勝負は始まったばかり。
アレク：15年やってまだ終わらないか。…長い戦いだね。
エイミィ：アレク、うれしそう。
アレク：当然だ。まだ、復讐は終わってない。
エイミィ：だけど、今日は、終わり。
アレク：わかってるわ。もっと、力をつけないと、ルシードには勝てないわね。
エイミィ：アレック、その意気。
アレク：エイミィ、それは一体どういうことだ？
エイミィ：弱み、見せたら、調子に乗る。
アレク：それで？
エイミィ：人間の将、王都から兵を出したら、主力で、王都、落とせる。
アレク：だが、こっちは全滅だろう。
エイミィ：それで、いい。戦いには、勝てる。
アレク：…エイミィ、あんた、あたしより狂ってないか。
エイミィ：これが、戦争。戦争、スポーツ、違う。
アレク：あたしにはわからないよ。わからない。…なんでみんな死にたがるんだ。
殺されないように殺すのが戦いだろ。
エイミィ：みんな、そう思う。だから、戦争、なくならない。
アレク：まあ、あたしには関係ないか。
態勢を整えて、また、攻めれば済むことだ。
エイミィ：今回、魔族の損害、ほとんどない。長、失敗とは、思ってない。
アレク：だが、兵達は、負けたとおもうかもしれない。
エイミィ：そうかもしれない。でも、まだ、勝負は始まったばかり。
アレク：15年やってまだ終わらないか。…長い戦いだね。
エイミィ：アレク、うれしそう。
アレク：当然だ。まだ、復讐は終わってない。
エイミィ：だけど、今日は、終わり。
アレク：わかってるわ。もっと、力をつけないと、ルシードには勝てないわね。
エイミィ：アレック、その意気。
ホートウィッシュ攻防戦が終わっても、戦争が終わったわけではない。
この戦いも、たぶん、始まりの終わりですらないのだ。
この戦いも、たぶん、始まりの終わりですらないのだ。