【脚本】クルトの「Wizard of OZ」 　【序幕】 　舞台には幕が下りた状態で前奏曲だけ流れる 　曲は「水中飛行」 　曲が終わると、舞台の幕が上がる 　光景はカンザスの農園、舞台の左手にドロシーの家がある 　声は総て舞台の右手から聞こえる ドロシーの姉：ドロシー、ドロシー！、お皿は洗ったのかい！ 　　ドロシー：い、今やります、やりますから〜 ドロシーの姉：本当にやるんだろうね、トトと遊んでるんじゃないよ 　　ドロシー：いますぐやります、だからトトをぶたないでっ 　舞台の右手から、トトを抱えたドロシーが舞台の左手へと駆け抜ける 　しばらく茶碗を洗ってる音 　突然舞台の遠景より竜巻が発生、一旦左手に消える 　その後・・・ 　　ドロシー：きゃ〜っ 　ドロシーの家が竜巻に巻き上げられてそのまま遠景へ消える 　ここで幕 　【第一幕】　ドロシー、エメラルドの街へ行く 　「第一場」ドロシー、OZの国へ到着する 　幕が上がると、ドロシーの家が誰かを押しつぶしている 　ドロシーの家の回りに何人かの人 　彼らは口々に押しつぶされた誰かを指して「よかったよかった」と喜び合う 　しばらくしてドロシーがトトを抱えて登場 　　ドロシー：あら？ここは一体・・・私、カンザスに居たはずなのに 　　　住人Ａ：ああ、あなた様が我々を救ってくださったのですね 　　ドロシー：私があなた方を救ったですって？ 　　　住人Ｂ：その通りです、あなたが空から悪い魔女を退治してくださったのです 　　ドロシー：私、悪い魔女なんて退治してないわ 　　　住人Ａ：でも、あなたの足下に悪い魔女が 　　ドロシー：大変、私の家が誰かを押しつぶしてるわ 　　　住人Ｂ：あれが私たちを苦しめていた悪い魔女なんです 　　　住人Ｃ：はい、あなた様は我々の恩人です 　　　　トト：うにゅう・・・ふわふわがいないの 　　ドロシー：トト、我慢しなさい 　　　　トト：うきゅう・・ふわふわなのぉ・・（ドロシーになつく） 　　　住人Ａ：救い主様、どうかずっとこの国に留まって私たちをお助けください 　　ドロシー：私は救い主さまなんかじゃないわ 　　　　　　　それに、私はカンザスに帰りたいの 　　　住人Ｂ：そうですか・・・どうしても、お帰りになられるのですね 　　ドロシー：そうよ、ねえ、ここはどこ？どうやったらカンザスに帰れるの？ 　　　住人Ｃ：ここは、OZの国、偉大なる魔法使いOZ様が治める魔法の国です 　　ドロシー：OZの国？私、そんな国しらないわ 　　　住人Ｂ：私どもはカンザスという国を知りません 　　ドロシー：なんですって！ここはアメリカじゃないの？ 　　　住人Ａ：ここはOZの国、あめ玉なんかじゃありません 　　ドロシー：あめ玉じゃなくてアメリカ！ 　　　　　　　アメリカもカンザスを本当にしらないんですか？ 　　　　トト：あめ玉がほしいのぉ〜 　　ドロシー：大人しくしてたら後で上げるよ 　　　　トト：今欲しいの〜 　　ドロシー：しかたないわね、はい 　　　　トト：（あめ玉をなめはじめる） 　　　住人Ｂ：私たちはカンザスもアメリカも知りません 　　　　　　　でもエメラルドの街に住んでおられる 　　　　　　　OZ様なら必ずあなた様の願いを聞いてくださいますとも 　　ドロシー：OZ様って、だれのこと？ 　　　住人Ｃ：OZ様はこの魔法の国でも一番の魔法使いでございます 　　　　　　　この国の中心にあるエメラルドの街を魔法で作り出した 　　　　　　　もっとも偉大な魔法使いの王様です 　　ドロシー：そこに行けば、私、カンザスにかえれるのかしら？ 　　　住人Ａ：OZ様に出来ないことは何一つないのです 　　ドロシー：なら、私そこへ行くわ・・・あ、でも私、靴がないわ 　　　　　　　スリッパじゃ旅なんてできないわ 　　　住人Ｂ：そこの魔女が履いていた靴をお使いになるとよろしいです 　　　　　　　あの魔女の靴は誰の足にもぴったりと合う魔法の靴だと 　　　　　　　あの魔女はずっと自慢しておりました 　　ドロシー：・・・・そうね、すこし気持ち悪いけど、使わせてもらうわ 　　　　　　　ごめんね、東の国の魔女さん 　ドロシー、スリッパから魔法の靴に履き替える 　　　住人Ｃ：では、これは心ばかりのせんべつです 　住人Ｃ、ドロシーに旅の道具一式を与える 　　　住人達：救い主様〜OZ様によろしくお伝えくださいませ〜 　ドロシーがエメラルドの街への道を歩いていく・・・・・ 　「第二場」　ドロシー、おばかなかかしに出会う 　風景はのどかな田園風景 　今は実りの季節らしい 　牧歌的な風景の中をドロシーが歩いていくと、 　途中で道ばたに捨てられているかかしを見つける 　　ドロシー：あら？どうしてこんな所にかかしが落ちてるのかしら？ 　　　かかし：（しくしくと泣いている） 　　　　トト：このかかしはふわふわにゃ（かかしにじゃれつく） 　　ドロシー：トト、かかしを壊しちゃだめよ 　　　かかし：（しくしく）・・・ああ、あなたはどなたでしょう 　　　　　　　こんな役立たずのかかしに優しい言葉を掛けてくださるあなたは 　　ドロシー：私はドロシー、カンザスから来たのよ 　　　かかし：カンザス？ああ、私の知らない言葉です 　　　　　　　ああ、私に立派な脳味噌があったら、すぐにわかるだろうに・・・ 　　ドロシー：誰もカンザスなんてしらなかったわよ 　　　　　　　それより、あなたかかしさんなんでしょ 　　　　　　　どうして畑の中にいないの？ 　　　かかし：それもこれも全部私に脳味噌がないからなんです 　　　　　　　私だってもとは畑の中で働いてましたとも 　　　　　　　でも、カラスの奴は私を無視して畑の中でやり放題なんです 　　　　　　　あまつさえ、私に向かって「能なし能なし」とはやし立てて 　　　　　　　私の頭の上で宴会なんて開く始末・・・ 　　ドロシー：それはしかたないわ、かかしさん、動けないもの 　　　かかし：ええ、だから私も思いきってカラスどもに思い知らせるために 　　　　　　　ヴァニシング・レイをたたき込んでやったんです 　　ドロシー：それはすごいわ！ 　　　かかし：そうしたら一緒に畑まで焼き払われてしまいまして・・・ 　　　　　　　それで、ご主人様に捨てられてしまったのです 　　　　　　　ああ、私にまともな脳味噌さえあれば・・・（しくしくしく） 　　　　トト：すくいようのないアホにゃ 　　ドロシー：そんなこと言うものじゃないわ、トト 　　　　　　　大丈夫よ、エメラルドの街に住んでいる偉大な魔法使いの 　　　　　　　OZ様に頼めば、きっとなんとかしてくださるわ 　　　　トト：さすがにここまでは無理にゃ 　　　かかし：OZ様？OZ様の噂はわたくしも聞いておりますとも 　　　　　　　あの偉大なOZ様にお会いになられるのですか？ 　　ドロシー：ええ、私はそのOZ様にカンザスに帰れるようお願いするのよ 　　　　　　　よろしければご一緒しません？ 　　　かかし：ああ、ありがとうございます 　　　　トト：ふわふわが仲間になるのはいいことにゃ 　　ドロシー：じゃ、一緒に行きましょ、かかしさん 　かかしが仲間になった（テーマソングが流れる） 　かかし、ドロシー、トト、再び歩き始める 　「第三場」　ドロシー、ブリキの木こりに出会う 　ドロシー、かかしが歩いていくと、森の中にさしかかる 　鬱蒼と茂った森を歩いていくと、途中でさび付いているブリキの木こりに出会う 　　　　トト：ふわふわじゃないにゃ、無視するにゃ 　　ドロシー：そんなこと言うものじゃないでしょ 　　　　　　　木こりさん？どうしたんです？ 　　　木こり：ああ、助かった・・どうか私にそこにある油を差してください 　　ドロシー：油？これの事かしら？ 　ドロシーが油を差してやると、木こりはやっと動けるようになる 　　　木こり：ありがとう・・・ 　　　かかし：それにしても、なんで錆びてしまうような事をしたんです？ 　　　　　　　雨が降る前に雨宿りすればよかったんですよ 　　　木こり：ううん、ぼくが錆びたのは雨のせいじゃないんだ・・ 　　　　　　　ぼくは、心がないんだよ 　　　　　　　心がないから、泣かないんだ 　　　　　　　泣かないんだけど・・涙が出ることはあるんだよ 　　　　　　　涙が出るとその涙で体がさび付いちゃうんだ 　　　かかし：不思議なことをいいますね 　　　　　　　心がないなら泣く必要もないし 　　　　　　　泣かないなら錆びることもないじゃありませんか 　　ドロシー：かかしさん、そんなに木こりさんを責めてどうするの？ 　　　　　　　ねえ木こりさん、私と一緒にOZ様に会いに行きましょう 　　　　　　　OZ様なら、きっとなにかよいことを考えてくださいますわ 　　　木こり：OZ様？ぼくなんかにOZ様が会ってくれるはずないよ 　　ドロシー：あきらめたらだめ！私だってあってくれるかわからないわ 　　　　　　　でも、私はカンザスに帰りたいの 　　　　　　　それが出来るのはOZ様だけなら、行くしかないのよ 　　　かかし：それに、誰かと一緒にいたらもし錆びても 　　　　　　　また油を差してくれるでしょう 　　　木こり：そうだね・・・でも、ぼくなんかのために油を差してくれるの？ 　　ドロシー：約束するわ 　　　木こり：ありがとう、じゃあ、ぼくも行くよ 　木こりが仲間になった（ここでやっぱりテーマソング） 　ドロシー一行はさらに道を進んでいく 　「第四場」　ドロシー、臆病なライオンに出会う 　ドロシー一行が歩いていくと、風景はいつの間にか草原に変わる 　草原を進んでいくと、道の真ん中にぶるぶると震えてうずくまっている 　ライオンに出会う 　　　　トト：あ、ふわふわにゃ〜 　　ドロシー：トト、危ないわよ 　　ライオン：うわぁ、助けてくれ〜 　ライオンはトトからしばらく逃げ回ったあげくにドロシー一行に助けを求める 　　ドロシー：トト！だめでしょ、いじめたりなんかしたら 　　　　トト：ぼくはいじめてなんかないにゃ、友達になりたかっただけにゃ 　　　かかし：情けないライオンもいたものですねえ 　　ライオン：ああ、俺は情けないライオンさ 　　　　　　　北の国から逃げ出して来たんだ 　　　　　　　北の国で俺達の仲間が戦ってた 　　　　　　　だけど俺達の仲間は戦いに負けちゃった 　　　　　　　死ぬまで戦おうとした仲間もいたんだけど・・・ 　　　　　　　俺は・・・死ぬのが怖くなったんだ 　　　　　　　だから、もう戦わなくていいように、ここまで逃げてきたのに・・・ 　　　かかし：自殺と勇気は別ですよ 　　　木こり：逃げちゃだめだよね 　　　　トト：ふわふわはすきにゃ 　　ドロシー：ねえ、ライオンさん 　　　　　　　私と一緒にOZ様に会いに行きましょ 　　　　　　　OZ様は偉大な魔法使い、きっとライオンさんの願いも聞いてくださるわ 　　ライオン：OZ様のような偉大な方が私なんかの願いを聞いてくださるでしょうか 　　　かかし：少なくとも、我々と行動を共にすればそれだけ危険にさらされる 　　　　　　　可能性は減ります 　　　　　　　それだけでも共に旅をする理由にはなりますね 　　ドロシー：そうよ、ライオンさん 　　　　　　　いざとなったら、私たちが守ってあげる 　　ライオン：ありがとう 　ライオンが仲間になった（テーマソング） 　再び歩き始めるドロシー一行 　「第五場」　ドロシー、エメラルドの街に到着する 　ドロシー一行が歩いていくと、遠景に巨大な街が見える 　　ドロシー：あ、なにか大きな街が見えてきたわ 　　　　トト：にゅ、あれがエメラルドの街かにゃ？ 　　　木こり：きっとそうだね・・ 　　ライオン：あそこに、OZ様がいるのかな 　　　かかし：ふむ・・・外見はエメラルドなどなさそうですね 　ドロシー達は街へと歩いていく 　ここで幕 　【第二幕】　エメラルドの街 　「第一場」　ドロシー一行、エメラルドの街に入る 　　　　門番：とまれ！おまえ達は何者だ！ 　　ドロシー：私はドロシー 　　　かかし：私はかかしです 　　　木こり：ぼくはブリキの木こりです 　　ライオン：俺は臆病なライオン 　　　　トト：ぼくはふわふわ好きのトトにゃ 　　　　門番：おまえ達はこの街になにをしにきた ドロシー達声をそろえて：OZ様に会いにきたんです 　　　　門番：よろしい、だがこの街に入るには 　　　　　　　このめがねを掛けなければはいることはできん 　門番、妖しげなサングラスを取り出す 　　ドロシー：え？これをはめるんです？ 　　　　門番：はめるのがいやなら、この街には入れない 　　　かかし：妙な魔法は掛かってないみたいですね 　　　木こり：はめなければあえないならしかたないよ 　　ライオン：・・・ドロシー、どうする？ 　　ドロシー：仕方ないわ 　　　　門番：じゃ、外れないようにきちんと鍵を付けておくぞ 　「第二場」　ドロシー、OZの魔法使いの謁見を受ける 　ドロシー達がエメラルドの街を歩いていく 　街の中は全体がエメラルド色に見える 　歩いていくと、途中に「OZの館」を指した案内板 　案内板に沿ってドロシー一行が進むと、OZの館が見える 　『真に助力を望むもののみ入る事を許す』 　館の前に立て看板がある 　その下にもう一つ書いてある 　『戯れに謁見を試みるもの、これを罰す』 　　ライオン：戯れに謁見を試みるものを罰するとは、どういうことだろう 　　　木こり：ぼくらは大丈夫かな？ 　　　かかし：大丈夫ですよ、我々の悩みはOZ様以外解決不能 　　　　　　　ならば我々は真に助力を望むものです 　　　　　　　戯れに行くわけではありません 　　ドロシー：とにかく、ここまで誰もカンザスをしらなかったわ 　　　　　　　カンザスに帰るには、OZ様の助けがいるの 　　　　トト：ふわふわがあれば帰らなくてもいいにゃ 　　ドロシー：私は帰るわよっ 　ドロシー一行、館の中に入る 　館の中は真っ暗である 　ライオンが怖じ気づくが、かかしと木こりに抱えられて 　そのまま謁見の間へ進められる 　謁見の間は真っ暗、その中におどろおどろしい光が立ち上っている 　「我が元にきたるはだれぞ！」 　地の底から響く様な声がする 　一同恐怖に震えるが、意を決してドロシーが呼びかける 　　ドロシー：私はドロシーです 　　　　トト：ぼくはトトにゃ 　　ライオン：私は臆病者のライオンです 　　　きこり：ぼくはブリキの木こりだよ 　　　かかし：私はかかしです 　「汝らは我が助力を心より望むものか」 　　　　一同：望みます 　「では、汝ら一人ずつ望みを言え」 　　　かかし：私は立派な脳味噌が欲しいのです 　　　きこり：私に心をください 　　ライオン：私に・その・・・ 　ドロシー、ライオンを落ち着かせる 　　ライオン：俺に勇気を！ 　　ドロシー：私をカンザスに帰してください 　　　　トト：ふわふわが欲しいにゃ 　「汝らが望みは分かった、だが今それを叶えるわけにはいかん！ 　　汝らが真に我が助力を望むなら、証を立てよ！」 　　ドロシー：証？証とはなんなのですか？ 　「これより、西の国へ行って西の魔女を退治してくるのだ 　　それが出来たなら、汝らの願い、真なりと認めよう」 　　ライオン：に、西の魔女、・・・ドロシーさん、あれは 　　　　　　　毎日恐ろしげな実験をしてるそうですよ 　　　木こり：それだけなら大したことじゃないよ 　　　かかし：そうですねぇ・・・退治するぐらいなら 　　　　　　　私にでもなんとかなるでしょう 　　ドロシー：退治すればいいんですか 　「その通りだ 　　西の魔女の実験につきあわされて半死半生の目に遭ってるものは多数ある 　　退治してその国の住人を救うのだ」 　　ドロシー：はいっ、行って来ます 　一同、OZの謁見を終える 　ここで幕 　【第三幕】西の国の魔女 　「第一場」　ドロシー一行、魔女にとらわれの身になってしまう 　幕が上がると、ドロシー一行は全員が個別に檻の中に閉じこめられている 　その前で妖しげな薬を調合する西の魔女 　　西の魔女：・・・・あらあら・・お馬鹿さんが集まりましたこと・・ 　　　かかし：う〜ん…予想外に手強かったですねぇ・・・ 　　ドロシー：正面からのりこんじゃだめだったね 　　　木こり：悪い人じゃなさそうだったんだよ 　　ライオン：もっとまじめに作戦考えないと 　　　　トト：ふわふわがいないにゃ〜 　　西の魔女：・・・・・さて、この薬を誰に飲んでもらいましょうか・・ 　　　かかし：・・・それは一体なんの薬なんです？・・・ 　　西の魔女：・・・なんの薬でしょうねぇ・・・・ 　　　　　　　・・・・・分からないから試してみるんですわ・・・ 　　　　トト：一理あるにゃ 　　　かかし：納得してどうするんですか 　　西の魔女：そうですわね、元気そうなあなたに飲んで戴きましょうか 　西の魔女、かかしを檻からそうと鍵を持ち出す 　西の魔女が鍵を開けた瞬間・・・ 　　　かかし：掛かりましたね！『ヴァニシング・レイ』 　舞台全体が閃光に包まれる 　やがて光が失せて舞台が再び見えてくると・・・・ 　　西の魔女：・・・・本当にお馬鹿さんですこと・・・・ 　かかしの丸焼きが出来ていた 　どうやら、魔法の威力を丸ごと跳ね返してしまったようだ 　　西の魔女：・・・でも、これでは実験ができませんわね・・・・ 　　　　　　　・・・・・しかたありませんわ、では・・くぅ〜・・・・ 　西の魔女は立ったまま眠る 　　ライオン：かかしさん、かかしさん、起きてください、今がチャンスですよ！ 　　ドロシー：ライオンさん、そんな大きな声出したら 　　　　　　　先に西の魔女が目を覚まさないかしら 　　　木こり：どのみち無駄だよ 　　　　トト：ふわふわがこげたにゃ(;_;) 　舞台が暗転 　「第二場」　恐怖の実験 　舞台に明かりが灯ると、ドロシーは檻の外にいて働いている 　かかしは張り付けになって壁におかれてる 　木こりはさび付いた状態で椅子に座らされている 　ライオンは未だに檻の中 　　西の魔女：・・・・あらあら、こっちの薬はうまく効かなかったみたいね・・・ 　　　　　　　・・別の薬を試して見ましょうか・・・ 　西の魔女が木こりのさびを落としているようだ 　　　木こり：・・OZ様でないと無理かもしれないよ 　　西の魔女：・・あらあら・・・信用ありませんこと・・・・ 　　　　　　　・・・・わたくしもいろんな実験を重ねてますのに・・・・ 　　　かかし：ブリキが錆びるのは仕方ないじゃないですか 　　　　　　　錆びないようにする実験なんてのが無茶なんです 　　ドロシー：西の魔女さん、水くみが終わりました 　　　　トト：終わったにゃ 　　西の魔女：・・・・あら、そうですの・・ 　　　　　　　・・・・では、先にこちらの実験をしましょうか・・・ 　　ライオン：一体なんの実験をするんです？ 　　西の魔女：・・・・臨死実験ですわ・・・・ 　　　　　　　・・・・・死の恐怖の前にどう振る舞うのか・・ 　　　　　　　・・・それを・・・・見させてもらうんですの・・・ 　　　　　　　・・・・・ドロシーさん、そこの水槽に入ってもらえます・・・・ 　　ドロシー：す、水槽にっ！ 　　西の魔女：ええ・・・あなたが汲んで来てくださった・・ 　　　　　　　・・・・・水を入れるんですの・・・・ 　西の魔女、血の凍るような逝っちゃってる笑顔を見せる 　　ドロシー：い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・実験はいや〜！ 　　　　トト：うにゃ、なにごとにゃ 　ドロシー、半狂乱になる 　　ライオン：ど、ドロシー落ち着け、落ち着くんだ 　　西の魔女：・・・あらあら・・・賑やかですこと・・・・ 　　　　　　　・・・・実験のし甲斐がありますわ・・・・・ 　　ライオン：お、おい、待て、あんた 　　西の魔女：・・・あら、どうしました、ライオンさん・・・ 　　ライオン：ど、ど、ドロシーの代わりに俺を実験台にしろ 　　　　　　　あの状態じゃどうせ水槽には入れられないだろ！ 　　　かかし：まったくお馬鹿なライオンですねぇ 　　　　　　　無謀と勇気は別物だというのに 　　西の魔女：あらあら・・・まあ、私はどなたが実験台になってくださっても・・ 　　　　　　　・・・・一向にかまいませんのよ・・・・ 　西の魔女、ライオンを水槽に入れる 　西の魔女が呪文を唱えると水槽にすこしずつ水が入っていく 　　西の魔女：・・・・心配しなくても死ぬ前には助け出して差し上げますわ・・・ 　　　かかし：ちょっと間違えれば死んでしまいますよ 　　西の魔女：・・・あらあら・・・信用ありませんこと・・・・ 　ドロシーはまだ半狂乱のままである 　水槽にはだんだんと水がたまっていく 　　　　トト：ふわふわが台無しにゃ 　　ドロシー：いや〜魔法はいや〜！ 　　西の魔女：・・・あらあら・・・これは魔法ではありませんのに・・・ 　　　かかし：だからなお悪いんです 　　ライオン：落ち着つけ、落ち着くんだドロシー 　　　　　　　・・・・誰も君に変な実験はしないよ 　　　　　　　俺がいる限り、そんなことはさせないから・・・ 　　　　　　　・・だから、落ち着け、落ち着いてくれ、ドロシー・・・ 　　西の魔女：・・・・元気がよいことですこと・・・ 　　　　　　　・・・・・それがいつまで続きましょうか・・・・ 　　ライオン：俺にだって分からないよ 　　　　　　　でも、今の俺の正直な気持ちなんだ 　　西の魔女：・・・・・・そろそろ、背が届かなくなりましてよ・・・・ 　ライオン、水槽の中で泳ぎ始める、が、徐々におぼれ出す 　　西の魔女：・・・・うふふ・・・気分はどうです・・・ライオンさん・・・ 　　ライオン：・・・・（しゃべる気力もない）・・・ 　　　かかし：ああっ、今ここで私に魔法が使えれば・・・ 　　　　トト：ああ、このままじゃふわふわがしんじゃうにゃ 　　西の魔女：・・・・死ぬ前には助けますわ・・・本当に心配性な方々です・・・・ 　ドロシー、ここでやっとなにが起きてるか気づく 　ライオンは水槽のそこへ沈んでいる 　ドロシー、ライオンに視線を向ける 　ライオン、最後の力でほほえんでみせる 　　西の魔女：・・・これはいい実験になりましたこと・・・ 　　ドロシー：いやぁ、ライオンさん、しんじゃいやぁ〜〜〜！！ 　ドロシー、どこからともなく取り出したハンマーを取り出して水槽をたたき壊す 　水槽から水があふれ始める 　　ドロシー：ライオンさん！ライオンさん！ 　　西の魔女：・・・あらあら・・・大変なことを・・・・ 　西の魔女、魔法で水を凍らせて水漏れを防ぐ 　　　かかし：あの水は凍る？だったら！ 　かかし、ライオンの回りの水を魔法で凍らせる 　ライオン、凍った状態で水槽の上に浮かんでくる 　　西の魔女：・・・あらあら、おいたがすぎますわよ・・・ 　　ドロシー：かかしさんっ 　西の魔女、かかしに魔法弾を打ち込む 　かかし、動けなくなる 　西の魔女、もう一度魔法を唱える 　ライオン、いつの間にか水槽の外へ出される 　　西の魔女：・・・魔法の使いすぎです・・・すこし疲れましたわ・・・ 　　　　　　　・・・・お茶にしましょうか・・・ 　　ドロシー：ライオンさんはっ 　　西の魔女：・・・・まだ生きてますわよ・・・本当に信用ないこと・・・ 　ふと見ると、ぶりきのきこりがさっきの水でまた錆びている 　　西の魔女：・・・あらあら、手が掛かりますわ・・・ 　西の魔女、またブリキの木こりのさびを落としにかかる 　　ドロシー：お茶はどうするの？ 　　西の魔女：・・・ドロシーさんが入れてくださってかまいませんわ・・ 　　　　　　　・・・・準備はそこに出来てますのよ・・・ 　　ドロシー：準備？ 　確かに、舞台の端にお茶の道具一式がある 　　ドロシー：じゃ、私がお茶を入れるね 　　　　　　　・・・・ドロシーちゃんの隠し味をちょこん、っと 　ドロシー、無水アルコール錠をお茶に仕込む 　ドロシー味見する 　　ドロシー：やっぱりお茶はこうでないとね 　　　　　　　はい、西の魔女さん、入りましたよ 　　西の魔女：・・・・あら、もうできましたの・・・ 　西の魔女、お茶を受け取って一口飲む 　　西の魔女：・・・・ZZZZ・・・・ 　　ドロシー：あれ？ 　西の魔女はそのまま眠りこけている 　　　　トト：ちゃんすにゃ、今のうちに逃げるにゃ 　　　木こり：それじゃ退治したことにならないよ 　　ドロシー：そうだわ！かかしさんを縛ってる縄で 　　　　　　　西の魔女さんを縛ってしまいましょう 　　　　　　　OZ様に縛った西の魔女さんを連れて行けば 　　　　　　　OZ様も退治したと認めてくださるはずよ 　　　木こり：うまい考えですね 　ここで幕 　【第四幕】　偉大なる魔法使いOZ 　「第一場」ドロシー一行、OZの謁見を再び受ける 　幕が上がるが舞台は真っ暗なまま 　しばらくして、ぼんやりとした照明が舞台をてらす 　観客の目が慣れると、そこがOZの謁見の間であることが分かる 　謁見の間にはドロシー一行と檻の中に入れられた西の魔女 　　ドロシー：OZ様、OZ様、お約束通り西の魔女を退治してまいりました 　　　　トト：退治したにゃ 　　　かかし：OZ様、お返事ください 　　ライオン：まさかとどめを刺せなんていうんじゃ無いでしょうね 　　　木こり：そんな、かわいそうだよ 　　　かかし：木こりさんは甘いですね 　　ライオン：窮鳥懐に入らば、狩人もこれを獲らず、ですよ 　　西の魔女：・・・あらあら・・・わたくしはどちらでもかまいませんのに・・・ 　「我が名を呼ぶものは誰ぞ！」 　　ドロシー：先日願いをかなえて戴きにまいりましたドロシーです 　　　　　　　OZ様のお命じになった通り、西の魔女を退治してまいりました 　「ご苦労であった、だがおまえ達が証を立てたとするには不十分である！」 　　ドロシー：そ、そんな、OZ様・・・ 　　ライオン：・・・・そんな・・・ひどい・・・・ 　　　　トト：ローラ姫をつれていくにゃ 　　　木こり：そんなネタ誰もしらないよ 　　　かかし：OZ様？本当は出来ないから無理難題をだすのではありませんか？ 　　ドロシー：かかしさん、それは失礼ですよ 　　　　　　　OZ様にはOZ様のお考えがあるのです 　　　かかし：しかし、おかしいではありませんか 　　　　　　　OZ様がそんなに凄い魔法使いなら西の魔女ぐらい自分で退治しても 　　　　　　　良さそうなものですのに 　　西の魔女：・・・・・友達を退治する人はありませんわ・・・・ ドロシー一行：友達！ 　一同、西の魔女の言葉を聞いてびっくり仰天 　　　　トト：ふわふわの気配にゃ〜 　トト、謁見の間の奥へと走っていく 　　ドロシー：ま、待ちなさいトト、トト！ 　ドロシーはトトを追いかけるがドロシーは追いつけない 　トトは謁見の間の台をくぐり抜けてしまう 　ドロシーも思わず台を乗り越えようとするが、台に体当たりして壊してしまう 　　ドロシー：きゃあ、申し訳ありませんOZ様〜 　台が壊れると、その向こうに用意されていたからくりが全部みえる 　今まで妖しげな光を放っていたのはただの幻灯機 　扇風機が幕を揺らすことでおどろおどろしい雰囲気を出していただけ 　トトは床においてあったぬいぐるみにじゃれついている 　　　　トト：ふわふわにゃ、ふわふわにゃ 　そして、そのトトを無表情に見下ろしている人物が一人 　ジーンズの作業服を着て、体中にいろんな工具を付けている 　　ライオン：あれが、OZ様・・？？・・・ 　　　木こり：なんだかぼくを作った人に雰囲気が似てるよ 　　　かかし：魔法使いにはみえませんねえ・・・あなた、一体何者なんです？ 　　西の魔女：・・・・あれが・・・正真正銘・・・OZの魔法使いですわ・・・ 　　　　　OZ：・・・（くすくす）・・・困ったね・・・・ 　　　　　　　・・・・まだ全部できあがってなかったのにね・・・ 　　ドロシー：あなたが、OZ様なんですか？ 　　　　　OZ：・・・・（くすくす）・・・ここだとそういう名前だね・・・・ 　　　かかし：でも、あなたは魔法使いには見えませんね 　　　　　　　魔力を全く感じません 　　　　　　　あなた、本当は何者なんです 　　　　　　　あなたに我々の願いを叶える力なんてあるんですか？ 　　　木こり：・・・・やっぱり、だめだったんだね 　　　　　OZ：・・・（くすくす）・・ 　　　　　　　・・・・もう少し時間を稼いでくれると思ったんだけどね・・・ 　　西の魔女：・・・あらあら・・・わたくしも買いかぶられたものですわ・・・ 　　　　　OZ：・・・（くすくす）・・・私はただの職人だからね・・・ 　　　　　　　・・・・願いを叶えるにはすこし準備がいるんだよ・・・・・ 　　　かかし：準備？我々の願いがちょっとした準備などで叶えられるわけが 　　　　　　　ないではありませんか 　　　　　OZ：・・・（くすくす）・・・そう捨てたものでもないよ・・・ 　　　　　　　・・・・・一人はもう満足してるみたいだしね・・・・ 　　　　トト：ふわふわにゃ、ふわふわにゃ 　　　かかし：あんな願いなら私にでもかなえられますよ 　　　　　　　私たちは偉大な魔法使いOZ様で無ければかなえられない 　　　　　　　願いがあるんです 　　　　　OZ：・・・（くすくす）・・・・そうでもないよ・・・ 　　　　　　　・・・・・・たとえば、かかしさんは・・・ 　　　　　　　・・・・脳味噌が欲しかったんだよね・・・・・ 　　　かかし：はい、その通りですとも、立派な脳味噌が欲しいんです 　　　　　OZ：・・・（くすくす）・・・本当にかかしには向いてないね・・・ 　　　　　　　・・・かかしなんてね・・・脳味噌なんか欲しがらないんだよ・・ 　　　かかし：でも、私はかかしですよ 　　　　　OZ：・・・（くすくす）・・・ 　　　　　　　・・・かかしなんか辞めてね・・・ 　　　　　　　・・・・魔法使いになればいいよ・・ 　　　かかし：私が？魔法使いに？ 　　　　　OZ：・・・（くすくす）・・・ほら・・・ 　　　　　　　・・・ここに魔法使いのローブがあるよ・・・ 　　　　　　　・・・・これを着てみてごらん・・・・・ 　　　かかし：服を着れば魔法使いになれるものじゃ無いでしょうに 　　ドロシー：かかしさん、OZ様がせっかく言ってくださるのよ 　　　　　　　だめでもやってみたらどうかしら？ 　　　かかし：・・・仕方ないですねえ、着るだけですよ 　かかし、OZが用意した魔法使いのローブに着替える 　小道具のロッドを持つと、どこから見ても魔導師の一員である 　　西の魔女：・・・・よくお似合いですわ・・・ 　　ドロシー：まあ、本当に魔導師みたい 　　　木こり：ほんとうだ、立派な魔導師に見える 　　ライオン：見違えましたよ、かかしさん 　　　　トト：ふわふわがたりないにゃ 　　　かかし：こんなのでなにが違うんでしょうねぇ 　　　　　　　中身はなにも変わって無いじゃありませんか 　　　　　OZ：・・・（くすくす）・・・人なんてね・・・ 　　　　　　　・・・・中身なんてみえないんだよ・・・ 　　　　　　　・・・・・立派そうな外見に驚いてるだけなんだよ・・・ 　　　　　　　・・・あなただって・・・最初は幻灯機に驚いてたよね・・・ 　　　　　　　・・・・・・それと同じなんだよ・・・・・ 　　　かかし：そういうものなんでしょうか 　　　木こり：でも、ぼくの願いは無理ですよね 　　　　　　　服を着替えたって、錆びるものは錆びますよ 　　　　　OZ：・・・（くすくす）・・・ずいぶんと見くびられたものだね・・・ 　　　　　　　・・・・・こういうことが私の本職なのにね・・・・ 　　　木こり：本職？ 　　　　　OZ：・・・（くすくす）・・・ 　　　　　　　・・・・西の魔女さんを出して手伝ってもらいたいね・・・ 　　　　　　　・・・・・・新しい体を用意したんだよ・・・・ 　　西の魔女：・・・あらあら・・・人使いが荒いこと・・・ 　木こり、西の魔女を檻から出す 　OZと西の魔女、木こりの体のブリキをはがして、新しく板を張り替える 　　　　　OZ：・・・・（くすくす）・・・・ブリキだから錆びるんだよ・・・ 　　　　　　　・・・・・・ステンレスに変えたからね・・・これで・・ 　　　　　　　・・・・・もう塩水なんかで錆びたりしないよ・・・・ 　　　木こり：本当にこんなので錆びなくなるんです？ 　　　　　OZ：・・・（くすくす）・・・私はこれが本職なんだよ・・・ 　木こり、どこからか取り出したタマネギをつぶして涙を流す 　ステンレスのボディは塩水に犯されずに輝きを保つ 　　　木こり：・・・動ける、動ける、ぼくは動けるんだ 　　　　　　　もうぼくは錆びないんだ 　木こり、涙が止まらない 　　西の魔女：・・・あらあら・・・もう泣かなくてもよろしいのに・・・ 　　　木こり：タマネギはもう関係ないんだよ、関係ないのに 　　　　　　　涙が止まらないんだよ 　　　かかし：まったく、脳天気なものですねぇ、 　　　　　　　本当に求めていたのは心でしたでしょうに 　　ドロシー：あら、木こりさんはうれしいから泣いているのよ 　　　　　　　うれしい、って思うことができるなら、心はあるじゃない 　　　　トト：ちっともふわふわじゃないにゃ、つまらないにゃ 　　　　　　　どうせならふわふわにするにゃ 　　ライオン：確かにかかしさんや木こりさんは服や体を変えればいいですよ 　　　　　　　でも俺が欲しいのは勇気なんです 　　　　　　　いくらなんでも、心の中に勇気をくれるのは無理でしょう 　　　　　OZ：・・・・（くすくす）・・・・だから西の魔女を退治するようにね・・ 　　　　　　　・・・・・・難題を出してみたんだよ・・・ 　　　　　　　・・・・普通はね・・・魔女に戦いを挑んだりしないんだよ・・・ 　　ライオン：俺はなにもしなかったよ 　　　　　　　仕事をしたのはドロシーやかかしさんだ 　　　　　OZ：・・・（くすくす）・・・勇気は命知らずとは違うよ・・・ 　　　　　　　・・・・・恐怖を感じないのが勇気じゃないよ・・・・ 　　　　　　　・・・・・恐怖にうち勝つのが勇気なんだよ・・・・ 　　ライオン：じゃあやっぱり俺は勇気なんて無い 　　　　　　　恐怖は感じるけど、それにうち勝ってなんか無いんだ 　　　　　OZ：・・・（くすくす）・・・勝ち負けは審判が決めるんだよ・・ 　　　　　　　・・・・・選手が決めるんじゃないんだよ・・・・ 　　　　　　　・・・これは私が決めたゲームだからね・・・・ 　　　　　　　・・・・・・私が勝ち負けを決めるんだよ・・・・・ 　　　　　　　・・・ライオンさんはね・・・勝ったんだよ・・・ 　OZ、そういうとライオンに勲章を渡す 　　ライオン：これは？ 　　　　　OZ：・・・・（くすくす）・・・・勲章だよ・・・・ 　　　　　　　・・・西の魔女と戦った従軍賞だよ・・・ 　　ライオン：従軍賞？ 　　　　　OZ：・・・（くすくす）・・・戦場に立つならね・・・・ 　　　　　　　・・・・・自分の守るべきもののために戦うならね・・・ 　　　　　　　・・・・・・自分の守るべきもののために犠牲になれるならね・・・ 　　　　　　　・・・・・・・・それが・・・・勇気なんだよ・・・・ 　　　　　　　・・・それはね・・・誰にでも出来ることじゃないんだよ・・・・ 　　　　　　　・・・・選ばれた・・・本当にね・・・・ 　　　　　　　・・・・一握りの存在にしかできないことなんだよ・・・・ 　　　　　　　・・・・・・勲章はね・・・・その証なんだよ・・・・ 　　　　　　　・・・・・・・・・・恐怖の報酬なんだよ・・・・・・・・・ 　　ライオン：でも、俺は・・・本当にそれにふさわしいんだろうか？ 　　ドロシー：ライオンさんは本物の勇気があるわ！ 　　　　　　　だって、私の代わりに水槽に入ってくれたじゃない！ 　　ライオン：あれは、その・・・ 　　　　　OZ：・・・（くすくす）・・・・それが勇気なんだよ・・・ 　　　　トト：ふわふわじゃないにゃ、いらないにゃ 　　　かかし：信じられませんねぇ・・・魔法を使わずに問題を解決するとは 　　　　　OZ：・・・・（くすくす）・・・・OZはね・・・職人なんだよ・・・ 　　ドロシー：凄いわ、本当に凄いわOZ様 　　　　　　　だったら私をカンザスに帰すこともできるわよね 　　　　　OZ：・・・（くすくす）・・・それが時間が足りなかったんだよ・・・ 　　　　　　　・・・・手は考えたんだけどね・・・時間が掛かるんだよ・・・ 　　　　　　　・・・・・私も帰るための準備はしてたんだよ・・・・ 　　　かかし：帰る？OZ様はどこへ帰るんです？ 　　　　　OZ：・・（くすくす）・・・私は元々職人だったんだよ・・・・ 　　　　　　　・・・・試作した気球が風に流されてこの街にたどり着いたんだよ・・ 　　　　　　　・・・・・空から現れた私を住人が・・・ 　　　　　　　・・・私を勝手に偉大な魔法使いだと思いこんだんだよ・・・ 　　ドロシー：それは私も経験があるわ 　　　　　OZ：・・・（くすくす）・・・それでね・・・仕方ないからね・・・ 　　　　　　　・・・ちょっとしたトリックを使ったんだよ・・・・ 　　　　　　　・・・・・この街はね・・・本当はエメラルドなんかないんだよ・・・ 　　　かかし：それにはすぐ気づきましたよ 　　　　　　　あれはめがねですね 　　　　　OZ：・・・（くすくす）・・・ほんとうに頭の回転が速いね・・・ 　　　　　　　・・・・・そうだよ・・・・色眼鏡を使ってね・・・ 　　　　　　　・・・全部がエメラルド色に見えるようにしたんだよ・・・・ 　　　　　　　・・・・・それでもね・・・街の人はエメラルドの街だとね・・・ 　　　　　　　・・・・・・信じているんだよ・・・ 　　　木こり：本当の事は教えてやらないの 　　　　　OZ：・・・（無表情に）・・・それは私の仕事じゃないよ・・・ 　　　　　　　・・・・私の次に来る人の仕事なんだよ・・・ 　　ライオン：次に来る人？ 　　　　　OZ：・・・（くすくす）・・その話は後にしたいよ・・・・ 　　　　　　　・・・・続けるよ・・それでね・・・私は元の街に帰れるようにね・・ 　　　　　　　・・・・・飛行船を作っていたんだよ・・・・ 　　ドロシー：飛行船！それがあればカンザスに帰れるのね！ 　　　　　OZ：・・・（くすくす）・・・飛行船があればね・・・・・・ 　　　　　　　・・・・・でもね・・・航続距離が足りなくてね・・・ 　　　　　　　・・・・・・・この国とカンザスを隔てるね・・・ 　　　　　　　・・・・・・砂漠を越えられないんだよ・・・・ 　　ドロシー：ああ、それじゃあ私はカンザスに帰れないのね 　　　　トト：ふわふわがあれば帰らなくていいにゃ 　　ドロシー：私はカンザスに帰るの！ 　　西の魔女：・・・あらあら・・・ミランダに相談すればよろしいですのに・・・ 　　ライオン：ミランダ？ 　　西の魔女：・・・わたくしの友達の・・・南の魔法使いですわ・・・ 　　　かかし：OZの魔法使い同様の魔法使いじゃないでしょうね？ 　　西の魔女：・・・・ミランダは正真正銘の魔法使いですわ・・・・ 　　　　　　　・・・・・OZの魔法使いと違って・・ 　　　　　　　・・・・・・滅多に人前には出ませんけど・・・ 　　　　　OZ：・・・（くすくす）・・・私も人前にはでないよ・・・・ 　　　　　　　・・・・・ただね・・・飛行船を作るためにはね・・・ 　　　　　　　・・いろいろと手助けをしてもらわないとね・・・ 　　ドロシー：そのミランダ様に会えばカンザスに帰れるのね 　　西の魔女：・・・ええ・・でも・・そこに行くには一つ問題がありますの・・・ 　　　かかし：問題？なんでしょう？ 　　　　　OZ：・・（くすくす）・・・ミランダの所へはね・・・・ 　　　　　　　・・・・・空が飛べる人しか行けないんだよ・・・・ 　　ドロシー：私に空が飛べたらとっくにカンザスに帰ってるわ！ 　　西の魔女：・・・そういえば・・・・そうですわねぇ・・・・ 　　　かかし：結局手がありませんね・・・ミランダ様が向こうから 　　　　　　　こちらに着てくだされば話は別ですが 　　西の魔女：・・・ミランダは滅多に人前には現れませんわ・・・ 　　　　　　　・・・・わたくしもこちらから出向きますもの・・・ 　　　かかし：私の魔法で私だけでもミランダ様の元に向かいましょうか？ 　　西の魔女：・・・・・わたくしの魔法でも・・・・ 　　　　　　　・・・・ミランダの所までは飛べませんわ・・・・ 　　　　　　　・・・・・・かかしさんの魔法ではとてもとても・・・・ 　　ドロシー：でも、西の魔女さん、さっき自分から出向くって 　　ライオン：あ、そうですよ、どうやってミランダ様の所へ？ 　　　　　OZ：・・・（くすくす）・・・飛行船がね・・・・ 　　　　　　　・・・・・カンザスに行けないとは言ったけどね・・・ 　　　　　　　・・・・OZの国を回るぐらいの能力はあるんだよ・・・・ ドロシー一行：えっ、飛行船がある！ 　　西の魔女：・・・・ええ・・・飛行船でこの国を回るから・・・ 　　　　　　　・・・OZの魔法使いが一番力があることになってるんですわ・・・ 　　ドロシー：それじゃ、飛行船に乗っていけば！ 　　　　トト：飛行船はふわふわにゃ〜！ 　　　かかし：(^^;ミランダ様に会えるんですよ 　　ドロシー：行きましょう！ミランダ様の南の国へ 　ここで幕 　【第五幕】　一つの願い 　幕が下りた状態のまま、幻灯機がミランダの城の遠景を 　幕へ向かって映し出す 　ミランダの城は断崖絶壁の上の幻想的な城 　確かにそんな断崖の上へは空が飛べなければたどり着けないだろう 　更にそのはるか上から飛行船が城に降りていくところが映し出される 　そして、再び真っ暗になる 　「第一場」　ミランダの城 　幕が開くと、舞台の上は城の中にある広場 　真ん中に飛行船が係留されていて、その下にドロシー一行がいる 　　　　トト：飛行船はふわふわだけどふわふわじゃないにゃ 　　　　　　　不思議にゃ 　　ライオン：こんなおっきなものがよくそらを飛びますね・・・ 　　　木こり：ほんとだ、布と鉄で出来てるのに 　　　かかし：原理が分かれば単純なものです 　　　　　　　あれは大きいから飛ぶんです 　西の魔女とOZの魔法使いは門番と会話中 　　　　門番：ミランダ様は今日は誰にもお会いになりません 　　西の魔女：・・・あら・・・それは残念ですわ・・・ 　　　　　　　・・・・・せっかく新しいお友達を紹介しようと思いましたのに・・・ 　　　　　OZ：・・・（くすくす）・・・あえるはずないけどね・・・ 　　ドロシー：ねえ、門番さん、明日には会ってくださるのかしら？ 　　　　門番：はい、明日でしたら歓迎すると思います 　　ドロシー：明日・・明日なのね 　　西の魔女：・・・浮かれてばかりもいられませんよ・・・・ 　　ドロシー：え？ 　　　　　OZ：・・・（くすくす）・・・ミランダさんは人を見るからね・・・ 　　　　　　　・・・・願いを叶えるにふさわしいと思わなければ・・・・ 　　　　　　　・・・・・門前払いにされるかもね・・・・・ 　　　かかし：やれやれ、また無理難題ですか 　　　木こり：今度はOZ様や西の魔女さんの助けが借りられるから 　　　　　　　どんな難題でも解決するよ 　　西の魔女：・・・・ミランダは難題を出しませんわ・・・・ 　　　　　　　・・・・・ただ・・・今までの行いを見ますの・・・ 　　　　トト：この門番はふわふわにゃ 　　　　門番：こらっ、羽にさわるなっ！ 　　　　トト：ふわふわにゃ〜 　　ドロシー：こらっトト！大人しくなさい 　　　　　　　悪さをするとチョコレートを上げませんよ 　　　　トト：ふにゅう・・・チョコレートぉ 　トト、チョコレートをもらいにドロシーの元へ行く 　　　かかし：明日と言われても、今日私たちはどこへ行けばよいのでしょう？ 　　　　門番：城の中に部屋を用意いたします 　　　　　　　夕食も用意いたしましょう 　　　　　OZ：・・・（くすくす）・・・そうだね・・・ 　　　　　　　・・・・・案内してくれるかな・・・？？？・・・・ 　　　　門番：はい、ただいま 　一同、城の中へ 　ここで舞台は暗転 　「第二場」　最後の一夜 　舞台が再び明るくなると、舞台の上はドロシーが今日泊まる部屋 　ベッドの上ではトトが寝息を立てている 　ドロシーはろうそくの明かりをじっと見つめている 　しばらく時計が時を刻む音 　それから鐘が１２回 　再び時計が時を刻む音 　ドロシーの独白 　　ドロシー：・・・・明日、明日になればカンザスへ帰れる 　　　　　　　・・・帰れるといいな 　　　　　　　…帰ったら・・・帰ったらどうしよう・・ 　再び沈黙、時計の音だけが響く 　　　　トト：ふにゅう・・・ふわふわぁ・・・ 　トト、ベッドの上でぬいぐるみを抱きしめて眠っている 　　ドロシー：帰っちゃったら・・・ここのみんなとはお別れね・・・ 　　　　　　　・・魔導師のかかしさん・・・ステンレスの木こりさん・・・ 　　　　　　　・・・・西の魔女さん・・OZ様・・・・ 　　　　　　　・・・・・・そして・・・臆病で・・・勇気がある・・・ 　　　　　　　・・・ライオンさん・・・・・ 　　　　　　　・・・・・みんな・・・みんな・・・もうあえなくなる・・・・ 　再び沈黙、時計の音 　扉がノックされる 　ドロシー、最初は気づかない 　再び扉がノックされる 　ドロシー、ここで初めてノックに気づく 　　ドロシー：どうぞ、開いてるわ 　　ライオン：こんばんは、ドロシー 　　ドロシー：あら、ライオンさん、どうしたの？眠れないの？ 　　ライオン：ああ、ちょっと・・・ 　しばらく立ったまま両者沈黙を守る 　　ドロシー：ライオンさん、戸口に立ってないでこちらにいらっしゃい 　ドロシー、ライオンに椅子を勧める 　　ライオン：ああ、・・ありがとう 　＜以下一時作成棚上げ、予定としてはアドリブ＞ 　舞台暗転 　「第三場」　善き魔法使いミランダ 　舞台が明るくなると、舞台はミランダの謁見室となっている 　ミランダの謁見室は開放的な雰囲気のお茶会場所 　ミランダが最上席に座ってはいるが、ごく普通の食卓に見える 　　西の魔女：・・・お茶が入りましたわ・・・・ 　　　　　OZ：・・・（くすくす）・・・すぐに本題に入った方がいいかもね・・・ 　　ミランダ：そうですわね、お茶を飲みながらお話しいたしましょう♪♪ 　　ドロシー：・・・うん・・・ 　　　木こり：ドロシーさん、どうしたの、目が赤いよ 　　　　トト：ふわふわがいっぱいにゃ 　　　かかし：ミランダ様の羽にじゃれつくんじゃありません 　　ミランダ：あらあら、そんなに私の羽が気に入りました♪♪ 　　　　トト：ふわふわにゃ〜 　　ライオン：・・・・・・ドロシー、そろそろ・・・ 　　ドロシー：あ、そうね・・・ミランダ様、私、カンザスに帰る方法を 　　　　　　　教えていただきたいんです 　　ミランダ：あらあら、そんなに急がなくてもカンザスは逃げたりしませんよ 　　　　　　　それよりお茶を召し上がりなさいな 　　　　　　　冷めては台無しですわ 　　　　　OZ：・・・（くすくす）・・・私はねこじたなんだけどね・・・・ 　一同、しばらくお茶を飲む、他愛のない会話が続く 　＜会話の内容はアドリブを希望＞ 　　ミランダ：ごちそうさま♪♪ 　　　かかし：ごちそうさま、おいしかったですよ 　　　木こり：本当に 　　ライオン：すばらしいお手前で 　　　　　OZ：・・・（くすくす）・・・・いただきます・・・・ 　　ドロシー：OZ様？もう冷めてません？ 　　西の魔女：・・・あらあら・・・OZは本当に熱い物がだめですのね・・・・ 　　　　　OZ：・・・・（くすくす）・・・こればかりは治らないからね・・・ 　　ミランダ：さて、ドロシーさん？カンザスに帰る方法でしたわね♪♪ 　　ドロシー：はい、ミランダ様… 　　　かかし：どうしたんです？元気がないですよ 　　ドロシー：ううん、なんでもない 　ドロシー空元気を出す 　　ドロシー：ミランダ様、どうすれば私はカンザスに帰れるんでしょうか？ 　　ミランダ：あらあら、それはとっても簡単なことよ♪♪ 　　　　　　　あなたが履いている靴があるでしょう♪♪ 　　ドロシー：はい、本当は東の魔女さんのものなんですけど・・・ 　　ミランダ：その靴には、三回かかとを鳴らして行きたい場所を言えば 　　　　　　　どこへでも行けるという魔法が掛かってるんですよ♪♪ 　　ドロシー：え、それじゃ 　　ミランダ：はい、それさえ知ってればすぐにでもカンザスに帰れたんです♪♪ 　　　かかし：でも、そうしてたら私は一生役立たずのかかしでした 　　　木こり：ぼくはさび付いたブリキだったよ 　　ライオン：俺はずっと臆病ものだった 　　　　トト：ふわふわにあえたにゃ 　　ドロシー：うん・・・ 　　西の魔女：・・・いい天気ですわ・・・旅立ちにはちょうどですわよ・・・ 　　ドロシー：・・・・ 　　ライオン：さ、ドロシー、ドロシーは俺に勇気を教えてくれた 　　　　　　　今度はドロシーが手本を見せてよ 　　ドロシー：・・・・うんっ、じゃ、ライオンさん、・・・ 　　　　　　　魔導師のかかしさん・・・ううん、もう 　　　　　　　かかしさんじゃなくて、エメラルドの街の大魔導師様ね 　　　　　　　・それから、・・ブリキじゃなくて・・・ステンレスの木こりさん・・ 　　　　　　　・・・・西の魔女さん・・・魔術師じゃなくても偉大なOZ様・・ 　　　　　　　・・・・・・ミランダ様・・・・そして・・・ 　　　　　　　・・・・本当に臆病で・・・勇敢な・・・ライオンさん・・・・・・ 　　　　　　　・・・・・・いつまでも・・・いつまでもお元気で・・・ 　　　　トト：ふわふわにゃ〜 　　ドロシー：トト！帰るわよ 　　　　トト：ふわふわがあったら帰らなくていいにゃ 　　ドロシー：トト！帰らないとビスケットを上げませんよ 　　　　トト：うにゅう・・・ビスケットぉ 　トト、ドロシーからビスケットを受け取る 　ドロシー、中庭に出ると銀の靴の踵を三回鳴らす 　　ドロシー：銀の靴よ、私をカンザスに連れてって！ 　ドロシー、トトを抱えたまま空中へ舞い上がる 　ここで幕 　【最終幕】　カンザスの農園で 　再び幕が開くと舞台はカンザスの農場 　総ては序幕と全く同じに見える 　舞台の左手にドロシーの家がある 　声は総て舞台の右手から聞こえる ドロシーの姉：ドロシー、ドロシー！、お皿は洗ったのかい！ 　　ドロシー：い、今やります、やりますから〜 ドロシーの姉：本当にやるんだろうね、トトと遊んでるんじゃないよ 　　ドロシー：いますぐやります、だからトトをぶたないでっ 　舞台の右手から、ドロシーが左手に駆けていく 　途中で立ち止まり、トトがいないことに気づく 　　ドロシー：トト、トト、こっちへいらっしゃい 　トト、ドロシーについて駆けてくる 　トトはドロシーにじゃれつく 　ドロシーの首には、ライオンがもらったはずの勲章が掛かっている 　トトはOZからもらったぬいぐるみを抱えている 　どろしーとトトが舞台左手に消える 　そして、しばらく茶碗を洗ってる音 　舞台遠景にきらりと光る何かが見える 　それが徐々に大きくなって、やがて飛行船の姿になって・・・・ 　ここで、ゆっくりと、幕が、降りていく 　【終幕】 　ここで音楽が流れる 　曲は「夢見る力」 　＜この後登場人物全員での舞台挨拶＞