シナリオ２９

ここは、お台場大学の空木研究室。
今年もまた、藍仙高校クリスマスパーティ向けの
アトラクションの準備が進められている。

例年佳祐が考えるから無茶苦茶になっているような気もするが、
どうせ霰が絡むのだかが誰が考えても大差ないような気がする。
ちなみに、今回は、風紀委員会の右左から、あまり突飛にならないように、
と、釘を刺されてはいる。
釘を刺されたぐらいで自粛するとは思えないが、
体裁を繕う程度のことはしているだろう。

「マナ姉。ちょっとクリスマスの占いやって」
「・・・・シルフィ・・・何を占って欲しいの・・・」
「あのね。クリスマスのイベントでの私の運勢。全体運でお願い」
「・・・・いいわよ・・・・」

クリスマスに向けて、シルフィがまた何か考えているらしい。
どうやら今度は正々堂々と挑むのではなく、ハロウィン的な
びっくりイベントを狙っているようだ。

「・・・・・悪くはないみたいね・・・
　全体を支配するのは、The World。支えになるのがJudgement。
　でも、もう一つの要素が不安になるわ・・
　Wheel of Fortuneの逆位置。
　シルフィは自分の世界を創れるでしょうね。
　そこで望む形の決着がつくかもしれないわ。
　でも、・・・・運命はあなたの味方ではないわよ」
「Ｏ．Ｋ．すばらしいじゃない。運命を自分で切り開ける運命なんでしょ☆」
「・・・・そういう見方もあるわね・・・・」
「じゃ、早速クリスマス大作戦を考えよ～マナ姉も手伝ってよ」
「・・・・わたしもなの・・・・」
「そうそう、一人じゃ出来ること限られるから、ね」
「・・・・わかったわ・・・・」

「・・・・・以上のように、毎年クリスマスには、怪しげなアトラクションが行われています。
　このような危険なアトラクションの実施を阻止し、一般生徒を保護するのが
　風紀委員会の仕事です。・・はい、ではみなさん、質問はありませんか」
「はい、・・・その、そんなに危険な事に私たちで対処できるんでしょうか」
「いい質問ね。阻止するといっても、実力で阻止しようとはしないでね。
　私たちの仕事は見張ることと注意すること。もし注意しても聞き入れられない場合は
　無理をせずに先生に報告してください。
　ほかに質問は？・・・・・・ありませんね。
　では、今日の会議を終わります。みなさんお疲れ様でした」

風紀委員会も、クリスマスパーティ対策に乗り出したようだ。
しかし、そのクリスマスパーティ、一体何が起きようとしているのだろうか？

「シルフィ。なにそれ？」
「え？新しい呪い・・じゃなくて、お呪い。
　クリスマスの日までにこのペアペンダントをくっつけて持ってて、
　クリスマスパーティで好きな人にくっつける事が出来たら結ばれるんだって」
「へー。それって、効き目あるの？」
「どうかな？マナ姉が効き目がないって言わなかったから、あるんじゃない？」
「マナが言うんなら信頼できそう。ねえ、私にも分けてよ」
「いいよ。一個５００円ね」
「ありがと」

いや、マナは何にも言っていない。
何も言っていないとシルフィだって言っているのだが、
勝手に効き目があることになってしまったようだ。

もっとも、買値が５００円のペンダントを５００円で売っても
全然シルフィの儲けにはならない。
では、一体このペンダントでシルフィは何を狙っているのだろう。

「・・・・変な商売しないで欲しいわ・・・」
「変な商売じゃないよ。儲けてないし」
「・・・・何をするつもりかしら・・・・」
「え？日本のクリスマスって、恋人のためのお祭りじゃなかったの？」
「・・・・子供にプレゼントする日だと思っていたわ・・・」
「恋人のための日でもあるんだって。だから・・・ちょっと、実力試しをね」
「・・・・・・・・・・それは・・・・・・」
「マナ姉。気にしない気にしない。みんながハッピーになる事はいいことだよ」
「・・・・・・私は・・・・」
「マナ姉。・・・自分だけいい子になるのはなしだよ☆」
「・・・・・・分かったわ・・・・・・」

一体何の実力試しだか分からないが、
とにかく、シルフィが恋人のために何かするつもりではあるらしい。
それが、本当にためになるのかどうか、それは、クリスマスにならなければ分からない。

【シナリオ２９】2003回目のクリスマス